吉田松陰の留魂録を読んでみよう(第15・16節) | 周南市 東郭の世界

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松陰記念館前の銅像
 
 
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留 魂 録
 
 
 
 
 
身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂
 
 
 
十月念五日           二十一回猛士
 
 
 
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吉田松陰先生
 
 
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原文】は、16節ありまして、今回は第15・16節です。
 
 
 
 
【原文1516節】
 

一、清狂ノ護国論及ヒ吟稿口羽ノ詩稿天下同志ノ士ニ
寄示シタシ故ニ余是ヲ水人鮎沢伊太夫ニ贈ルコトヲ
許ス同志其吾ニ代テ此言ヲ践マハ幸甚ナリ
 
一、同志諸友ノ内小田村中谷久保久坂子遠兄弟等ノ事
鮎沢堀江長谷川小林勝野等ヘ告知シ置ヌ村塾ノ事
須佐阿月等ノ事モ告置ケリ飯田尾寺高杉及ヒ利輔ノ事
モ諸人ニ告置シナリ是皆吾カ苟モ是ヲナスニ非ス
                          
                                             
【読み下し文1516節】
 
一、清狂(せいきょう)の護国論及び吟稿、口羽の詩稿、天下同志の士に寄示したし。
故に余是れを水人(すいじん)鮎沢伊太夫に贈ることを許す。
同志其れ吾れに変わりて此の言を践(ふ)まば幸甚(こうじん)なり。
 
一、同志諸友の内、小田村.中谷.久保.久坂.子遠兄弟等の事、鮎沢.堀江.
長谷川.小林.勝野等へ告知し置きぬ。
村塾の事、須佐(すさ).阿月(あつき)等の事も告げ置けり。
飯田.尾寺.高杉及び利輔の事も諸人に告げ置きしなり。
是れ皆吾が苟(いやしく)も是れをなすに非(あら)ず。
 
 

 
    
【用語解説】・・・《吉田松陰Com
 
清狂=一八一七~五八 月性のこと。字は知円、清狂は号。周防遠崎(山口県玖珂郡大畠町)、妙円寺住職。『仏法護国論』を著わし、海防を論じ攘夷を唱えた。
雲濱、松陰と交遊。
 
口羽=口羽徳祐 一八三四~五九 名は親之、通琦、字は希魏、亀山、杷山と号す。長州藩寺社奉行。松陰の親友。安政六年病没。著書『杷山遺稿』
 
水人=水戸藩士。鮎沢伊太夫
 
此の言を践まば幸甚なり=この言葉通り実行してくれたら大変嬉しい。
 
小田村.中谷.久保.久坂.子遠兄弟=小田村伊之助.中谷正亮.久保清太郎.
久坂玄瑞入江杉蔵.野村和作
 
鮎沢.堀江.長谷川.小林.勝野等=鮎沢伊太夫.堀江克之助.長谷川速水.
小林良典.勝野保三郎
 
須佐.阿月等の事=長門須佐(山口県阿武郡須佐町)は家老益田弾正の采邑で郷校育英館があり、周防阿月(柳井市阿月)は家老浦靱負の采邑で郷校克己堂が設けられ、いずれも松陰の同志がいた。
 
飯田.尾寺.高杉及び利輔の事=飯田正伯.尾寺新之丞.高杉晋作.伊藤利輔(博文)
 
是れ皆吾が苟も是れをなすに非ず=これは全て私がいい加減な気持ちでしたことではない。
 

【東郭訳解】
一、僧月性の護国論と吟稿、口羽徳祐(長州藩寺社奉行)の詩稿を天下同志
 
  の士に見せたい、だから私は水戸藩の鮎沢伊太夫に贈ることを約束し
 
  た。同志よ、私に代わってこの事を実行してくれたら大変嬉しい。
 
 
二、同志諸友のうち、小田村伊之助、中谷正亮、久保清太郎、久坂玄瑞、
 
  入江杉蔵と野村和作兄弟のことを鮎沢、堀江、長谷川、小林、勝野の
 
  諸士に頼んでおいた。松下村塾、須佐(家老益田親施の領土)の郷校
 
  育英館の事、柳井市阿月(家老浦靱負)の郷校克己堂の同志の事も
 
  宜しく告げておいた。飯田正伯.尾寺新之丞.高杉晋作.伊藤利輔
 
 (博文)のことも諸人に告げておいた。これは全て私がかりそめに話し
 
  た事ではないことを分かって欲しい。
 
 

☆今日は、吉田松陰先生の留魂録最後の15・16節でありました。このあと、松陰先生は
 
 最後に詩を5首詠んでおられます。次回紹介します。
 
 それにしても、松陰先生が最後に同志たちに託す気持ちを思うと真に切ないことであり
 
 ます。
 
 今日 私たちが、眼にすることが出来るのも留魂録二通を認めたことによるものです。
 
 松陰先生の周到さには、つくづく感心します。二通の内一通は現存しませんが、残り
 
 の一通は獄囚の沼崎吉五郎に頼み明治9年になって野村和作に届けられたもので、
 
 このお話しの留魂録は、まさに、至誠通天というべき松陰先生の遺志が20年後に
 
 現れたものでなのであります。
 
                         《2015.5.17 周南市 東郭》