下関市に来て関門海峡を通過する船々を眺めていると、その数の多さに飽きることがありませ
ん。なにしろ海峡の狭い処は650m(港則法の幅500m)であり、その関門航路通過船舶数は、
年間35万隻(H.25.8国土交通省九州地方整備局)なのであります。
きょうも、関門橋が左に見える海峡公園で巨大船がすれ違うのを見て驚いたり感心したりで
ありました。
《2014.12.9 周南市 東郭》

大きな船舶というのは、左から右へ航行してきたWALLENIUS WILHELMSENとネームして
ある自動車専用船と巨大クレーン船です。

WALLENIUS WILHELMSEN(ワレニウス・ウィルヘルムセン)はスウェーデンの船会社で
「FIGARO」の船名が書かれています。
一般にLARGE CAR and TRUCK CARRIER(LCTC)と言って世界最大級の自動車運搬船
なのでした。
FIGARO(フィガロ)
IMO:9505041
船籍:スウェーデン
総トン数:74,258
重量トン:30,900
全長:227.80m
全幅:32.26m
喫水:11.30m
エンジン:MAN B&W 8S60ME-C8
出力:19,040kw
速力:21.8kt
自動車積載台数:7,879台(乗用車3,508台と大型バス432台を同時に積載可能)

自動車一台当たり二百万円だとすると、157億5千8百万円と積み荷となりますね。

海峡ウエディングの前撮りなのでしょうか、人だかりがして撮影するのを
見学していました。海峡を背にしての晴れ姿の気分いゝでしょうね!

フィガロは、去って行きます。

一方巨大クレーン船は、横の文字から「洋翔 YOSHO」と読めます。

クレーン船は、自分では動けないので、タグボートに曳航して貰う。

後ろの三角形の構造物は、バックタワーと言うらしいですが、高さが58mあるそうです。

日本の主なクレーン船を覗くと、洋翔は吊能力4,000トンでランク2位です。
寄神(よせがみ)建設という神戸の会社の作業船です。
この会社は、海翔(かいしょう)という日本一の4,100トン吊下能力のクレーンも
所有しています。

関門橋の下を通れるのは、高さが61m以下でないと通れません。
後ろの三角形の高さが58mなので、その差が3mしかないのです。
もう、何回も通過している筈ですが、どうしても橋桁にぶっつかりはしないか心配に
なります。通り過ぎるまで眼が離せませんでした。
洋翔(4,000t吊りジブ・スライド格納式起重機船)
【船体部】長さ120m、幅44.0m、深さ7.0m
【起重機部】ジブ起状式、主巻定格荷重4,000t(1,000t×4)、
アウトリーチ前側フック30.7m・後側フック21.0m、
巻上高さ前側フック126.5m・後側フック95.1m、
巻き上げ速度毎分2m、補巻定格荷重15t×8台、10t×2台
国内初の「ジブ・スライド格納式」を採用している。格納方法はまずジブを20度まで倒し、
フライングジブを折りたたみ、台船に搭載。基部のジブを後部にスライドさせ、フライング
ジブを台船から船体に取り込んで収納する。《寄神建設株式会社資料》

クレーン(起重機)船は、なんの問題もなく関門橋の下を通り過ぎようとしています。
前のジブは、スライドして倒して進んでいるため、高さは問題ありませんが、全長は
148mあるそうです。こんな巨大なものを移動出来るのは、海ならばこそですね。
橋の組み立ては知りませんが、関門橋なども高さからすれば吊り下げられます。

海峡の花嫁が気になったのか、洋翔がきになったのか、みなさんは見送っています。

上空を山口県警のヘリコプターが飛んで行きました。14:37′のことです。
機体はイタリアのアグスタ社製でターボシャフトエンジン2基を搭載した双発機です。
2010年8月から活躍しています。
機種 A109E型パワーエリート
名称 あきよし JA10YP
全長 13.03m
全幅 11.00m
巡航速度 240km/H (最高速度311km/H)
航続距離 948km
搭載人員 8名
飛行目的は、空からのパトロール、犯人の捜査や追跡等の捜査活動、 交通取締り、
救難・救助、急病人や重傷者の緊急輸送など幅広い分野で活用されています。
☆山口県下関市は、海峡の町であります。ここの関門とは、下関と門司と一字をとった表現
です。そして下関はその潮流により古来歴史を伝えて来た重要な地点です。
源平合戦の壇ノ浦の戦い、北前船の寄港地や朝鮮通信使の寄港地、明治維新の下関戦争と
その講和、日清戦争の講和の地などなど歴史の潮流によって動いてきました。
今回も、海峡を往来する無数の船舶や唐戸市場のふぐの盛況など見ると、まことに
忙しい町です。
現在は、世界のトップクラスの船舶やヘリが活躍する新しい局面が見られます。
こんな、時流が潮流となって新しい下関が益々発展すれば、県民として喜ばしいことです。