大庁の椅子に座ってコーヒーを飲んでいると、留園が次第に静かになっていく。
留学生たちが母国へ帰国したのだ。
今は、朝大きな行李を携えた留学生がタクシーを待っており、友人たちと別れを
惜しみながら談笑している。
私も、ここで何人か故郷へ帰って行く人達を見送った。
わずかな期間であったが、お互いに精一杯過ごしてきた故に感慨もひとしおだ。
外国では、心細さや喜びを共有できるのは、留学生同士だ。
“お互いに国に帰っても必ず連絡し合おう” といって既にMail addressを
交換してある。
“この次の留学は日本にいく、 いま申請している” と言う人にもふたり出会った、
日本に来たら必ず連絡をしてくれと言ってある。
そんな人たちに、将来の夢を聞くのは、たのしい。
「卒業したら何になりたいか?」「どんな仕事をしたいか?」
「どんな人と結婚したいか?」などと質問してみる。
若い留学生は、急に眼を輝かし、私をみて、具体的に目標を喋りはじめる。
理由も聞くと、かなり可能性の高い、地に足のついたしっかりした考え方をしている。
結婚相手の希望などはとくに仔細で身長から収入、タバコ、酒、体重、性格まで
まるで、その人が目の前にいるかのように話してくれる。
そして “こんなわたしは、高望み!?” といって笑っている。
若い人は、いい。
帰国前談話室に残していく落書きを掲載します。落書き禁止の張り紙がある
にも関わらず、落書き中も関係者は黙認なのが、これまたいい。






