皆さんは、大入道(おにゅうどう) をご存じでしょうか。


 東海道四日市宿資料館のある四日市市を訪問されたことのある方なら、見聞きされたかもしれませんね。そんな大入道にゆかりのあるのが「桶之町」です。



 毎年8月初旬に開催される大四日市まつりには、郷土の文化財と伝統芸能を披露するプログラム (今年は8月3日) がありますが、その中でも最も人気のあるのが大入道です。からくり人形としては日本一の大きさと言われています。


 まつりの終盤、西に太陽が傾く頃、大入道の演技が近づくと、どこからともなく人が集まってきます。大勢の見物客の前で、首が伸びたり眉毛や目が動いたりするシュールな姿は一見の価値ありですが、小さなお子さんは泣いてしまうかもしれませんね。



 伊勢湾沿いの浜辺を開拓して造成された地域の一部が、江戸時代の文化文政年間 ( 1804~30年 ) の頃に桶之町と呼ばれるようになりました。現在の中納屋町で国道23号をまたいで東西に位置していました。

 江戸時代の後期、町名の「桶」が「大化 (おけ)」に転じ、諏訪神社の祭礼でオ(バ)ケや妖怪の仮装行列を奉納したのが大入道の始まりとも言われています。 大入道については、いくつかの民話が伝わり、最近は四日市市のマスコットキャラクター「こにゅうどうくん」も登場して、市民に親しまれています。さらには、旧東海道の商店街では「中入道」に会えますよ 。どんな姿なのかは、見てのお楽しみ。  (Y) 

昭和33年(「桶之町」があった頃)の諏訪神社例大祭
出典 : 『目で見る四日市の100年』 四日市商工会議所