資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。

 

 青森県弘前市銅屋町にある、最勝院(さいしょういん)です。

 




 最勝院は青森県弘前市のほぼ中央に位置し、国重要文化財の指定説明に「東北第一の美塔」と称讃される、姿の美しい五重塔がある事で有名な寺院です。

 

 五重塔は下から初重(しょじゅう)・二重・三重・四重・五重と、文字通り5つの重(層)からなり、卒塔婆(そとば)の起源とされています。

 卒塔婆とは、墓の後ろに立て掛ける縦長の板のこと。板には追善供養するための梵字や真言などが書かれ、上部が方・円・三角・半月(半円)・宝などに形づくられているが、それぞれ地・水・火・風・空という5つの要素を意味した形となる。

 密教の世界観を表したものであり、五重塔は五層であることに大きな意味を持つ。つまり五重塔は巨大な卒塔婆であり、日本が世界に誇ることのできる、高層木造建造物の一つといえるだろう。寺伝によると、藩祖為信の津軽統一の過程で戦死したすべての人たちを供養するために「最勝院五重塔」は作られたとされています。

 敵味方の区別なく平等に供養し、供養塔として建立した点において、博愛思想を示す塔になっています。

 

 境内に足を踏み入れ、最初に目にするのが仁王門であり、門をくぐる参拝者を見つめるのが仁王様の役どころといえます。弘前創生の頃より数百年もの長い間、津軽と弘前民衆を見まもり、見まもられてきました大切な阿吽の相を呈した仁王様です。

 金剛山最勝院の仁王像。その御尊像は2017年秋、阿形仁王像の左眼球落下により、修復への長い道のりが始まった。2019年秋に仁王門より搬出が行われ、工房へ移転の上、詳細調査が行われた。 2020年夏、解体の過程において制作より実に368年という大変古い歴史を示す大発見があり、運慶の流れを汲む仏師が造ったことも明らかとなり、これを受け、単なる修理ではなく、制作当初の姿に戻す、復旧・修復修理へと舵が切られることとなりました。


 力強い背中と、甦った『厳しくも優しい眼差し』の仁王像は、2023年春に本堂内での特別公開されました。仁王像は高さ277センチの阿形像と275センチの吽形像の2体。江戸時代の有名な仏師の一人、運慶の流れをくむ京都の仏師が制作したことが解体修理の過程で判明しています。

 


 絵馬は、阿形、吽形の二対の仁王尊が描かれた開運絵馬です。

 阿吽(あうん)の呼吸とは、「二人以上が一つの事をする時の微妙なタイミングや気持ち。またはそれが一致すること。」の意味です。