資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。

 

 奈良県奈良市今市町にある、帯解寺(おびとけでら)です。




 帯解寺は今からおよそ千二百年前、文徳天皇妃である染殿皇后が当寺で祈願し、次代の天皇となられた清和天皇を授かられ、無事御安産されたことから、天皇により「無事に帯が解けた寺」、帯解寺と名付けられました。

 

 帯解寺の御本尊である帯解子安地蔵菩薩は、弘法大師 一刀三礼(※)の作とも伝えられています。 日本最古の安産・求子(子授け)の霊像であり、国の重要文化財に指定されています。

 左手に宝珠、右手に錫杖を執り、左足を踏み下げて岩座上に坐す、像高182.6cmの堂々とした半跏像で、寄木造、表面は彩色仕上げとなっています。また、腹前に裳の上端の布や結び紐が表されているところから「腹帯地蔵」といわれ、安産祈願の対象として広く信仰をあつめてきました。

 ※一刀三礼(いっとうさんらい)… 一彫りするたびに、三度礼拝して仏像を彫刻すること。

 


 絵馬は、一刀彫で願いを込めて彫られた戌(いぬ)の安産祈願絵馬です。

 古来より、犬は多産で安産であることから、安産や子授けの守護神とされています。