資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。
和歌山県田辺市本宮町本宮にある、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)です。


三山の中でもとりわけ古式ゆかしい雰囲気を漂わせるのが、聖地熊野本宮大社です。
熊野参詣道のなかでも、多くの人々がたどった「中辺路(なかへち)」を歩くと、難行苦行の道のりを終え最初にたどり着くのが熊野本宮大社です。最初に熊野本宮大社を望む「伏拝王子」の名は、やっとたどり着いた熊野大社を伏し拝んだ、との由来からと伝えられています。
神門をくぐると檜皮葺の立派な社殿が姿をあらわします。
向かって左手の社殿が夫須美大神(ふすみのおおかみ)・速玉大神(はやたまのおおかみ)の両神。中央は主神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)。そして右手は天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られており、交通安全、大漁満足、家庭円満、夫婦和合、長寿の神として人々を迎え入れてきました。

熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)は、カラス文字で書かれた熊野三山(本宮・新宮・那智各大社)特有の御神符です。
カラス文字の数は、各大社によって異なります。熊野牛王神符は、八十八の烏がデザインされており、木版で手刷されたものを熊野宝印と認めています。
「カマドの上(現今はガスの元栓)にまつれば火難をまぬがれる門口にまつれば盗難を防ぎ懐中して飛行機、船にのれば、船酔い災難をまぬがれる。病人の床にしけば、病気平癒となる。」
このように、熊野牛王神符は、熊野信仰の人々をあらゆる災厄からお守りされる御神符です。
さらに時代が進み、鎌倉時代になるとご神符は「誓約書」ともなり、江戸時代には「起誓文」の代わりとしても用いられました。 これは古くから「熊野権現への誓約を破ると、熊野大神の使いである烏が一羽亡くなり、本人も血を吐き地獄に堕ちる」と信じられてきたことが背景にあります。
