資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。
石川県小松市安宅町タにある、安宅住吉神社(あたかすみよしじんじゃ)です。



創建は天応2年(782年)、正保4年(1647年)に現在地に遷座され、主祭神は、住吉三神(底筒男命・中筒男命・表筒男命)をお祀りされています。
神社はこの地で起きた「義経と弁慶一行が、安宅の関守・富樫に疑われながらも難を逃れた」とされる伝承から、難関突破に霊験ありとされ、全国唯一の難関突破の守護として崇められています。会社経営、各種受験、スポーツ競技、芸事上達など、人生の様々な難関を突破するため、御祈願やお守りを受けようと、多くの人が参拝に訪れます。

勧進帳とは、寺院建立などの目的で寄付金を集めるための趣旨を書いた趣意書のことです。




源頼朝の命により義経捕縛を目的に冨樫左衛門が設けた関所「安宅の関」を突破するため、山伏に扮した武蔵坊弁慶が関所冨樫の前で、焼失した奈良・東大寺再建の寄進を募る勧進帳として読み上げる、というストーリーが歌舞伎の芸題「勧進帳」となり、広く知られるようになりました。
『兄の源頼朝に謀反を疑われて追われる義経が奥州平泉へと落ちのびる途中の文治3年(1187 年)、山伏姿で安宅の新関にさしかかる。関を越えようとしたその時に、関守富樫泰家に見とがめられ、詮議の問答が始まる。
弁慶は白紙の勧進帳を読み上げて、強力に身をやつした義経をかばう。しかし顔が似ているという関守の前で義経に似た貴様が憎しと主人を打ちすえる。その忠義の心に感じた富樫は義経と知りながらも一行を解放し、関を通してしまう。』
この勧進帳の物語は、映画「七人の侍」などで知られる世界的な映画監督・黒澤明によって映画化。「虎の尾を踏む男たち」の作品名で公開されました。

「松たてる 安宅の砂丘その中に 清きは文治三年の関」
「住吉の 神をかしこみしりぞきて 冨樫の据えし新関のあと」
など、往時に思いを馳せた短歌が安宅住吉神社に奉納され、その一首が歌碑となって松林の中に残されています。
