資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。

 

  三重県熊野市有馬町にある、花窟神社(はなのいわやじんじゃ)です。

  日本書紀には、一書に曰く として次のようなことが書かれています。

 『イザナミは、火の神カグツチノカミを生むときに、陰部に大火傷を負って死んでしまう。その遺体は紀伊国の熊野の有馬村に葬られる。 村人は、この神の魂を祭るのに、花のときは花をもって祭り、鼓・笛・幡旗をもって歌ったり舞ったりして祭る。』

 多くの神々を生んだイザナミは、最後に火の神カグツチを生み落とし、陰部を焼かれて死んでしまいますが、そのイザナミを葬った場所がこの花の窟だとされています。

 

 また、花の窟神社には、イザナミの墓とともに、妻の死に逆上したイザナギに生後間もなく斬り殺されたカグツチの墓も祀られています。

 

  絵馬に描かれているのは、例大祭のお綱掛け神事です。


  お綱掛け神事は、有馬の氏子が中心となり、およそ10メートルの三旒(みながれ)の幡形、下部に種々の季節の花々や扇子等を結びつけたものを、日本一長いといわれる約170メートルの大綱に吊し、大綱の一端を岩窟上45メートル程の高さの御神体に、もう一端を境内南隅の松の御神木に渡す神事です。

  ご祭神の伊弉冊尊(イザナミノミコト)のイメージ図

  日本書紀では伊弉冉尊(イザナミノミコト)と記されている。(『古事記』では伊邪那美命)
 

祭神の軻遇突智尊(カグツチノミコト)のイメージ図

  日本書記では軻遇突智(カグツチ)、火産霊(ホムスビ)と記されている。