資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。

 

 三重県伊勢市二見町松下にある、松下社(まつしたしゃ)です。


 御祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)のほか、菅原道真と不詳一座を合わせて三座です。創立年は詳しくわかっておりませんが、一説には平安中期の阿倍清明が神様をお招きしてお祀りされたところとも伝えられています。

 また、この地には次のような厄除けの「蘇民将来の神話」が言い伝えられています。


 『牛頭天王(ごずてんのう)がこの地を通った時、暴風雨に遭い立派な家の巨旦将来(こたんしょうらい)に一夜の宿を頼んだところ、貧しい身なりを理由に断られた。困り果てていたところ、今度は蘇民将来(そみんしょうらい)の家に行くと、蘇民は貧しかったが快く招き、親切にもてなしてくれた。

 天王は大変感激し、「後の世に疫病あらば、汝、蘇民将来の子孫と云いて、

茅の輪を持ちて腰に付けたる人は免れなむ」と言い残していった。以来、蘇民家は疫病が流行っても免れ、代々栄えたそうです。

 以後、この地方では注連縄に魔除けとして「蘇民将来子孫家門』の木札を飾り、周年飾っています。

 自分の家は心優しい蘇民将来さんの子孫の家とアピールしています。(牛頭天王がスサノヲノミコトであるとも伝わります。)』

 

 また、木札の裏面には、「ドーマン・セーマン」に「急々如律令」と書かれています。

 ドーマン・セーマンは、三重県志摩地方(現、鳥羽市、志摩市)の海女が身につける魔除けのこと。磯手拭や襦袢などに星型の印「セーマン」と格子状の印「ドーマン」を貝紫で描く、または黒糸で記し、海での安全を祈願する。

 星型は一筆書きで元の位置に戻ることから「無事に戻って来られるように」 格子は、多くの目で「見張る」と言われています。

 そして、急々如律令(きゅうきゅう にょりつりょう)とは、呪文の終わりに添える悪魔ばらいの語として用いられています。

 

牛頭天王のイメージ図