「判じ絵」は、江戸時代に庶民の間で流行った「なぞなぞ」みたいなものです。

 「判じる」とは「判断する」とか「推し量って考える」という意味で、絵を見て、それが何を意味するか当てる遊びです。

 題材は名所の地名だったり、食べ物、道具など。「洒落」の効いた言葉遊びで、なかにはちょっとお下品でばかばかしいものもありますが、庶民に愛されたささやかな娯楽でした。


 資料館入り口に掲げられているこの看板は、「かまわん はいれ」(構わないから お入りください)と表現されています。

 

 語のネタ 「江戸時代の絵文字の流行」

 1840年代頃 凶作で飢饉や百姓一揆が続いたため、幕府が倹約令(天保の改革)を施行し、贅沢は禁止され、庶民の娯楽も大きく規制されていた中、江戸後期の人気名優7代目市川團十郎が好んで図のような「絵文字の舞台衣装」を愛用して庶民の間に人気がでました。

(参考 7代目市川團十郎の絵)

 

 鎌輪ぬ(かまわぬ)は、「構わぬ」にかけたもので、妻を二人、妾を三人持つなど自由奔放に生きる團十郎は、緊縮政策をとる幕府ににらまれるが、それでも 構わぬ との姿勢を表したもの。

 「水火もいとわず(構わぬ) 身を捨てて弱いものを助ける」という心意気を感じる 町奴(やくざ)が 鎌輪ぬ の文様を好んで身に着けたことにも影響しているらしい。