資料館の近現代コーナーには懐かしい(昔見たことのあるような)品々が展示されています。 今回登場するのは、「ホーロー看板」です。
ホーロー(琺瑯)看板とは、主に屋外で使用される金属製の看板で、光沢のある塗装や印刷が施されています。明治21年(1888年)から明治22年(1889年)頃に誕生し、明治・大正・昭和中期まで商品宣伝手法の主流として活躍しました。
しかし、商品サイクルの加速化や住宅事情、新聞やテレビなどのメディアの発達に伴い、昭和50年(1975年)頃より徐々にその姿を消していきました。
ホーローは鉱物の硬さを表すモース硬度で、約5∼6の高い表面硬度を誇り、ワイヤーブラシなどでこすってもキズつかず、柄がはがれにくいつくりとなっています。
大塚のボンカレー
昭和44年(1969年)販売店を相手に試食会を実施して直接ボンカレーを食べていただき、お店に置いてもらうように盛んに働きかけ、20人ほどいた営業マンがライトバンや自転車で朝から晩まで50軒、60軒の小売店を回りました。さらに、宣伝用に女優の松山容子さんがボンカレーをもったホーロー看板を製作し、1日15枚のノルマで営業に成功した店に貼っていったのです。なんとホーロー看板は全国で9万5千枚も取り付けられました。そうした営業マンの努力の甲斐もあり、ボンカレーは次第に売上を伸ばし、1973年には年間販売数量1億食を達成したのです。
かとり線香アース渦巻
アース製薬の蚊取り線香「アース渦巻」は昭和15年(1940年)に発売され、昭和46年(1971年)頃から由美かおるのホーロー看板が貼られだしました。
志ら梅盛(四日市市室山町 笹野酒造部)
天保年間創業の酒蔵を営む笹埜酒造のお酒の看板です。現在 酒造事業は廃業されていますが、酒蔵の建物は結婚式場として再スタートされています。
カゴメ株式会社
大正3年(1914年)愛知トマトソース製造(資)設立、大正6年(1917年)にこのカゴメ印が商標登録されました。
話のネタ「カゴメのマークとイスラエルの国旗の形」
来館者の方から、「このカゴメのマークはイスラエルの国旗と形が同じだがどうして?」とのお話がありました。当方知るすべもなく、返答に苦慮したものでした。よくみると六芒星(ろくぼうせい)の形です。
カゴメのマークが商標登録されたのが1917年、イスラエルの国旗は1948年に正式に採用されたとあります。
ちなみにこの六芒星と称されるマークですが、日本では、六芒星は「籠目(かごめ)」とも呼ばれ、伊勢神宮などの有名な神社にも用いられています。
また陰陽道の分野では古くから使われており、精神エネルギーを強める効果があるとされています。



