関 本陣早立

かつての鈴鹿の関の跡地、関宿。まだ夜も明けきらない頃、大名たちが宿場内の滞在場所である本陣にて身支度を整えている場面、と言う珍しい主題の一図です。
定紋入りの幔幕が堂々と掲げられ、提灯の明かりのもとで槍などの準備が着々と整えられていく状況は、どこか緊張感を孕んでいます。
画面右手に描かれている棹には、宿泊している大名の名を記した関札という木札が架けられ、一方、本陣内には「美玄香」や「仙女香」などといった化粧品の宣伝広告も見受けられます。さらに奥の足軽が両手に掲げている提灯には、広重が愛用した「ヒロ」の紋がさりげなく入れられています。
(お断り 本文は㈱永谷園さんの東海道五拾三次カードからの引用です)
付録 五十三次名所図会(関)
