藤枝 人馬継立


 現在では宅配便で素早く簡単に荷物のやりとりができますが、江戸時代には各宿場に設置された、「問屋場」と言われる施設で、人足や馬の引き継ぎが行われることで、手紙や荷物が運ばれていました。 いわゆる「駅伝制度」です。 副題に「人馬継立」とあるように、この作品はまさにその情景を表しています。

 

 ようやく引き継ぎを終えて煙草をふかし一息つく人もいれば、帳面を片手に忙しそうに指示を出す帳付けや、天秤棒に荷物を取り付けて出発の時を待つ、少し緊張した様子の人足の姿も見えます。

 

 広重の巧みな人物描写によって、同じ場面に居合わせる人々それぞれの異なる心境を想像することができます。

 

 (お断り 本文は㈱永谷園さんの東海道五拾三次カードからの引用です)

 

付録 五十三次名所図会(藤枝)