目が覚めた。
いつの間にかに寝ていたようだ。
空は、もう日が暮れはじめていて雲が綺麗にオレンジ色に染まっていた。
夏も過ぎ、しつこいほどの残暑もやっと終わり、涼しいそよ風が吹くようになった。
そんな気持ち良い気温とは裏腹に目覚めた体からは、嫌な冷や汗が滲んでいた。
「うわ…」
そんな声が不意に零れてしまう。
身体を起こして、見つめた綺麗な景色の中に、似合わない烏が飛んでいた。
10月13日、日曜日。
結局、日が暮れるまでずっとそこにいた彼は、山岸シンジという。
意味のない、繰り返し、大した変化もない、そんな日々を生きている。
こんなものじゃなかった。あいつらのように、日々笑って過ごすことも出来たはずなのに。
人を妬み、自分を嫌い、この世界など一度壊れてしまえばいい。
シンジはそういう人間であった。
そんなシンジにも、好きなことがある。
そう、こんな僕にも好きなことがある。
写真を撮ることだ。
でも、キレイな写真を撮るというのとは違う。だって、使うのはデジカメ、なければスマホのカメラなのだから。
景色。
そう。僕が撮るのは僕が見ていたもの。
何を思って何を見つめていたのか。
それが、知りたいから写真を撮っていたんだ。
今日も一枚写真を撮った。
まぁ、スマホのカメラだけれども、
綺麗に染まったオレンジ色の景色の写真。
この写真は、今まで撮ってきた写真の中でも、会心の出来というか、何か引き込まれるような、そんな一枚になった。
気がつくと、もう夜の9時になっていた。
お腹減ったなぁー。冷蔵庫の中は空っぽだし、ラーメン屋でも行こうか。
彼はそういって立ち上がり、やる気のない感じで歩いていった。
…ッハァハァ……ッハァハァ
もう動けない程に走ってきた。
目の前もくらくらしている。
呼吸が乱れていて、声も出せないし、苦しい。
でも、逃げなければ、まだまだ逃げなければならない。
先へ。もっと先へと私は行かな…いと……。
あ
息はつまり、声は出ず、ただ目の前のそれに私は睨まれた。
ああ、どこまで行けばいいの?
ああ、どこに行けばいいの?
私を睨む、それ は、言った。
フフッ、ここにいればいい。
ここにいたいと言ったじゃないか。
ねえ、そうだったよね。
ユイちゃん♪
フフッ…くっ……アハハハハハ
笑った。真っ黒に染まったそれは私の気持ちを読み取り、そして笑ったのだ。
あ
そして変わらずに私の目の前は歪んでいった。
ごめん。またダメだった…。ごめんなさい───。