令和6年6月22日、馬瀬上流の鮎解禁に臨んだ。午前3時に出発する予定が、寝坊して4時半と出遅れてしまった。日の出とともに昨日から陣取っていた人は竿出ししている頃だ。今更、焦っても仕方ないので、すき家で朝食を取ってゆっくりドライブした。朝7時半に馬瀬上流に到着。坂本橋から惣島とすでに解禁を待ちかねた太公望の竿が林立していた。とても入れそうもないので、漁協近くの橋に車を止めて川を眺めてみた。右岸は人で一杯だが、左岸は少し空いていた。解禁なので、はす向かいに入り邪魔にならないように釣れば良かろう思って竿だしする事にした。水量は渇水だったが、石色は光っていて鮎もよく見えた。すでに対岸から瀬肩を釣っている人はバンバンかけていた。私は先客の邪魔にならないように川から離れて、同じ側のヘチにおとり鮎を泳がせる。対岸の釣り人は釣れた鮎をおとりにしてバンバンかけていた。私の養殖おとりは、ヘチからヨロヨロ泳ぎ始めたが糸がたるむとそこで休息状態に入るのが眼鏡越しに分かった。透明度が抜群に良いので川底をじっと見ていると、弱く尾を振るおとりの回りを追い鮎がぐるぐる旋回している。このままでじっとしていればそのうち釣れるだろうと思ったが、予想に反してなかなか掛からなかった。相変わらず先客の対岸の釣り師は自分の領域だとばかりに一番の瀬の中心を攻め続けている。するとあっという間に掛かるのだった。

 見せつけられ焦る気持ちもあったが、おとりを辛抱強く泳がせ続けるとやがて印が振れた。待望の一尾は小さかったが追い星のある綺麗な鮎だった。循環の釣り開始、新しいおとりはスイスイと泳いでいき上流に上っていくと一気に印が振れた。こうして解禁特有の追い気のある鮎をポツポツ釣っていくと、サングラス越しに変な圧迫感を感じた。やはり、邪魔をしてないつもりでも私が釣れ始めると対岸の2人釣り師たちは、自分の領域を荒らされている感を醸しだし、苦虫を潰した表情に一変した。敢えて竿先をこちらに突き出してくるようにみえる。少しあたりが減ってきたので長居は無用と先客に遠慮してポイント移動をする事にした。

 一旦納竿して、川沿いに下流に向かってトボトボと歩くと200m程度先に瀬がみえた。そこは比較的釣り人が少なそうだった。もうちょっと歩いて行くと、無人の緩やかな瀬肩に到着した。そこから更に下流にいる対岸の釣り人をぼんやり観察すると、流れが速い段々瀬を攻めていて時々竿が曲がっていた。対岸の釣り人たちは一様に私側に竿先を向けて瀬をせめているので、彼らの足元のヘチに鮎が残っているように感じた。そこで元気なおとりを泳がせてゆっくり引き上げてくると、案の定ガンと当たりがきた。かなりの引き味でタモに治まったのは今日一番の良型だった。浅いチャラ瀬にこんな良型が潜んで居る事に気をよくして、丹念に同じパターンで攻め続けるとかなりの数が掛かった。これも解禁の恩恵だろう。やがて午後3時過ぎには人も少なくなり、午前に竿入れされていただろう反対側のヘチを探っていくと残っていた鮎をポツポツと追加できた。最後に追い気のある鮎が透見できる少し掘れたチャラ瀬があったので、ゆっくりと引き上げてくるといきなりガツンとした当たりがきて一尾追加できた。今年は型揃いの楽しい解禁となり、梅雨明けがまた一段と楽しみとなった。