【静かな区切り】. | 【戯言/その美学と自惚れ】

【戯言/その美学と自惚れ】

揺れる己の先と。
消せぬ己の後に。
先を見て後を懐かしむ無駄を知り。
それを踏み潰し生きる未来に私は存在しない。

無意味の程度の計りを贅沢に使う可能こそに私自身の価値が存在する。



──────TOUGH-GUY











【静かな区切り】.






穏やかな仕事納め。
そんなところに向かう今。

何故かシニアの物語を幾つか拝見する数日。
家族との関係や退職金から年金の話と。
一歩間違わなくとも。
道は違ッても向かう方向は同じで時もほぼほぼ。
その同じ頃を歩くならば無視は出来ぬ事柄。
病気同様。
“オレは大丈夫”などと根拠なき自信は捨てるべき。
いや。
最初から持たぬ事。
まず凡人であり生きるに際し必要な物は決まり切ッたもの。

弱気ではないが真実に向き合う。
特別何か不具合があッての事ではないが自信など全くない。
ただ。
不安もない。

四十代の充実。
五十代は己の程度を知ッた。
好きな様に生きる事は出来たが飛躍はなかッた。
ただ日々を繰り返しただけ。
それがオレの実力。
人生に対しての真実。

で。
まッ
それが生きる。
だが。





明日は雨という思い。
憂鬱を消せぬ平日に充てられた予報。
休日の雨は1つの贅沢。
不具合を都合良き場所から見る他人事。
全てが濡れる雨。
全てを濡らす雨の中に自身も在るその日。
体を冷やし続ける8時間。
貴重とされる時間の長さ。
その日の目標はあるが私の目標ではない。
作業に於いての義務。
それだけの事。

何もしたくないワケではない。
が。
何かしたいワケでもない。
その位置ではない。
其所にも存在していない不様。
ただ。
ゆッくりと向かッている事は確かと信じて。

凡を楽しむ。
一般に溶け込み。
普通の中に幸福を思う。
ハデな演出は不要。
日本人はそもそもその様な価値観は持たぬだろう。

漬け物をくちに入れ緑茶を啜る。
NHKを見ながら日本酒を飲む。
だが。
威張る事はない。
だが。
弱気でもない。
ただ。
私は。
生きている。

ただ生きているだけでもない。
楽しんでいる。
理由。
真実に向かいたいと思う心。
究極の位置に行きたいと思う意識。
其所が楽しい今。
 




最高の和食を作る為に。
いい道具。
いい食器を。
1つ1つ選びたい。
一気に全てではない事がいい。
ゆッくりと緑茶を啜る為に。
最高の日本酒を飲む為に。
いい環境を整えたい。
極限まで減らした物。
笑いのあるテレビ。
外にはこども達の声。

和む日常。

私が望むもの。
清潔で普通の日常。

そんな感じ。





昨日夕方。
今年デビューの現場職員にスコップと土嚢袋を持ちながら頼まれた。
「○○さんちょッとお願いしていいですか」
土嚢持つの?
Γ私が土を入れる所の写真を撮ッて欲しいんです』
そッちか。
「3枚くらいお願いします」

不思議な感覚。
記事の為に撮る様な。
変な感じ。
自分が使う様な。

確認してね。
私は言ッた。
「完璧です。
ありがとうございます」

工期3年。
完成する頃には私達は過去の人間になッている。
そんな頃。
プライベートで訪ねてみたいものだ。

昨年熱海の現場で。
若い女性職員に聞かれた事がある。
どの現場でも。
私からは絶対に話し掛けない女性職員。
「指輪何処で買ッてるんですか?」

元気なのかなと。
ふッと。
孫と言ッてもいいくらいの年齢。

仕事では。
仕事関連の女性との接触は避ける。

此処だけは普通になる事は出来ない。
まッ。
向こうから来ると。
他の男達と一緒になるが。
いや。
1歩。
さらに踏み込む感がある。

そのギリが楽しいんだ。

感覚を遊ぶ感じが。

高校生になッた気分の錯覚が。





雨だな。





TOUGHーGUY