1974―6
#80(8/26に)
而して 再び繰り返すことだろう
誰も彼もが
何故なんだろうという言葉を口遊みながらも
いつの間にかは胸の内に
大事な大切なものとして秘められてしまう
我が子に語り継ぐものでもなく
単に生きていることの哀しさに化してしまう
けれども 嗚! 何と力強さを失っていくのだろう
けれども 一昨日、昨日、今日、明日、明後日…
#81(9/3 叡電にて)
久しい友との語らいのなかの
「そうだな」という久しい言葉に
細やかな戸惑いを感じるようになった
生きているからの嬉しさとともに
生きているからの哀しさを味わうために
私はつと天井を見やり
ゆっくりと黒い珈琲を口に運ぶ
何の会話も要らない
そんな時間のなかにだけ
私は安らぎを求めたかったのに
そうして束の間が過ぎ
私は夕暮れ迫る窓外を眺める
去年のある日 ちょうど同じ思いを抱いたであろう
自然の創(な)す山の黒いシルエットに
私は「そうだな」と頷いた