(室戸岬残照)

 

 

 嵐電⑭のなかでも触れたが、数冊残された半世紀以上も前の生徒会誌。その頁の中に埋もれ、おそらくは二度と蘇ることのなかった詩を二篇取り上げてみたい。

 

「新しい長ぐつ」   

             一年 山田浩司

長ぐつを買ってもらうので、

くつ屋に行った。

いろいろな長ぐつがならべてある。

どのくつもどのくつもてかてかと

光っていた。

くつ屋に入ると、プーンと

くつのにおいがした。

僕はちんれつしてあるくつに

見とれていた。

と、一つのくつが目についた。

 

僕はその長ぐつを買ってもらった。

試しにはいてみた。

ぴっしりとはまってぬくかった。

走ってみたら

「ボソボソボソ」と

気持ちのよい音を出しながら、

空中でも走るようなよい気持がした。

 

母は「足だけはもうお正月だな!」と言った。

僕は「うん」と言った。

 

 

「ブローチ」  

             一年 井上美和

おばあちゃんが、ブローチを作っている。

小さい穴に針をとおしている。

じっと見ていた目が

メガネの下からチラッと、

私を見た。

 

 

 その頃の生活道路は、全くと言っていいほど舗装されていなかった。雨が降るとぬかるんでしまうから、ゴム長靴は必需品だった。なかには、雨が降っていなくてもゴム長大好きな子がいたり、水たまりにわざとジャブジャブ入る子がいたりした。そんな時代の詩だけれど、今も変わらぬ細やかな人の情愛を二つの詩に想う。