(函館 五稜郭)

(函館奉行所)

 

⑪(九月十二日)

 いつだったろうか、他職から十数年ぶりに中学校の現場に戻った時ぐらいだったかなあ。赴任先の学校の階段踊り場の壁や側壁に生徒たちの習字が飾られていた。夏休みの課題でもあったのだろう。一様に、「理想の実現」とあった。一様に、と思っていたが、たった一枚だけ、そう一枚だけが違った。「理想と現実」と紛れてあったのだ。意識的に書いたとすれば、そのアイロニーに脱帽。それを掲示した国語の先生の胸中ほどうだったのだろうと、これも面白く想像するし、見た者の反応にもとても興味を覚えた。

 確かに理想の実現は容易ではなく、しばしば現実がその行く手を阻む。でも人類の歩みというのは、あくなき理想を追い求めることに負う一面もあるのではないだろうか。かつて多くの若者に影響を与えたチェ・ゲバラは次のような言葉を遺している。

 「もし私たちが空想家のようだと言われるならば、救いがたい理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう。『その通りだ』と。『すべての人間が卑しさを乗り越えながら、前進することが可能なのだ』と答えよう。」(NHK映像の世紀・第4集から)

 現実が先行するのではなく、理想が先行する社会であって欲しいなと思う。だからこそ、若者にはより髙い理想を抱いて欲しいなと願う。不安定な今日の世の中だから、なおさら…

 

⑫(九月十九日)

 昨日の月曜日、三十一年前に卒業した教え子たちの同窓会に呼ばれ参加した。当時は学年が十クラスの大所帯で、一クラスの人数も四十人を超えていた。その三割ほどの、齢(よわい)四十六、七とならん集(つど)いの中にいられたことに、感謝以上の言葉はない。

 当時は、時代も反映していたのだろうか、本当に色々なことがあった。生徒たちのエネルギーを、それこそ真っ向から受け止めてきた三年間のように思う。だからこそ、時には厳しく接することも今以上にあった。「こわい先生やった」(そんなにこわかったかなあ?)と、笑顔で言ってくれることに、彼らの優しさと成長を感じた。

 出席した全員が、昔と同じようなキラキラとした眼の輝きと表情を見せていた同窓会だった。

 

   『生きている人間。彼らのためにこそ、絶望は激しい希望の火を燃え上がらせる。』

     勇気をもらえる大好きな言葉です。誰の言葉だったかなあ?松永伍一さんの本の扉にあったような?

 

      『目標を持て 目標がなければすべてが遠ざかる』

   元ボクシングヘビー級チャンピオンのマイク・タイソンにコーチが言った言葉だそうです

 

(小樽 鰊番屋内部)