公式ハッシュタグ 令和6年5月12日 骨董品ランキング2位
立夏も過ぎたというのに,今週は曇り空で肌寒い日が続いている。午後三時過ぎの気温はたったの14度しかない。こんな日は鍋にかぎる。いつもの魚屋に行ったら松島湾のアサリが売っていた。松島湾は干潟が多く、昔からアサリ漁が盛んだった。松島のアサリは,産卵前の5~6月に旬を迎えるから今が走りの時だ。
そんな次第で,今日の夕食は,アサリの小鍋立てになった。大根の千六本と油揚げに熱が通ったらアサリを加え,煮えたそばからドカスカ食っていくという寸法だ。鍋の中身が無くなれば,また材料を注ぎ足して煮こむ。今の季節は,これに山椒を振りかけるが寒い時期は柚子を絞り込むのが私の習わしである。
松島のアサリは大粒で身がムッチリとして,濃厚な味わいが自慢だという。しかし昔のような出汁の強さがないように,私には思われる。まあ私の舌は,フグ鍋よりも鱈汁の方が美味いと感じるバカ舌だから当てにはならぬ。
酒を飲み終えたら鍋の中身をご飯の上にぶっかけ,深川めしにした。深川めしというと大層に聞こえるが,なんのことはない。アサリのみそ汁のぶっかけ御飯である。明治の頃は,漁師や車夫馬丁の輩の食べ物だったそうだから,今時の深川飯は出世したものである。
謹製 私流深川めし