仙台の職人の業 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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仙台藩の鉄砲は外形が,一見すると無駄を削ぎ落した武骨で実用本位の印象を受ける。しかし、仙台筒を子細に眺めると,目立たないところにキラリと光る伊達者らしいダンディズムを感じさせるのだ。

 

仙台藩士所持の六匁玉火縄銃と四匁玉火縄銃。

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いずれも足軽貸し出し用の番筒ではなく,高価な注文銃である。


例えば,分銅紋型の座金などは,さすがは伊達者と唸らせる冴えを持っている。この分銅紋座金は,火縄銃の座金としては手間のかかる高価なものであった。

 

仙台藩士所持の五匁火縄銃の分銅紋座金

 

また先日北海道のKさんから丸森鉄砲隊で使ってもらいたいとのことで仙台藩の六匁火縄銃が送られてきた。その火縄銃の銃床下部にはの木の意匠を線刻した細金が象嵌されていた。これを見れば伊達者の洗練された渋い都会的なセンスの良さがわかって頂けるだろう。この鉄砲は,つくられてから少なくとも150年以上たっているのは明白だ。一世紀半たっても少しも傷みの出ない仕事。輝きを失わない仕事。この技術には驚かざるを得ない。


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 ほぼ実寸大。仙台の職人は凄い。

 

当時は今のような工作機械もなければ,研磨紙さえもない時代だ。金属板から鏨で切り出し,最後は,トクサ(木賊)という植物の茎や砥石を用いて仕上げたのであろう。技術だけではなく,根気と集中力がなければできない仕事だ。現代人にとっては,気の遠くなるような話である。下の写真は,登米伊達家所持と推定される火縄銃の機関部の掘り込みである。これが作られてから200年以上経った機関部の掘り込みなのに,昨日彫ったような美しさだ。

私は,これを作った仙台の職人たちの手と指を思い浮かべると,目頭がじんわりしてしまう。

 
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