伊達のひな祭り | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 「奥州の独眼竜」と呼ばれた戦国武将の伊達政宗は,勇猛で派手な行動の多かった男だが,茶道や香道にも親しんだ教養の高い文化人でもあった。

伊達政宗公の愛用の甲冑

 

 政宗は若い頃から茶の湯に親しみ,自ら幾つもの茶杓を作っている。その茶杓は,古田織部の影響を受けたといわれるものや小堀遠州風のものなどがあり,その人柄を今に伝えている。

 

伊達政宗公自作の茶杓

 

また伊達政宗は,香道にも通じていた。その晩年,長崎へ輸入された香木の伽羅を京の御所などと四者で分けあった。政宗は手元に来たその香木に自ら「柴舟」と命名した。これは能の兼平の「憂きを身に積む柴舟や、焚かぬ前よりこがるらん」の句を引用したもので、焚く前から香るとの意味を込めて「柴舟」と名付けのである。ちなみに御所に献上された香木は「藤袴」、前田家は「初音」、細川家は「白菊」,伊達家は「柴舟」と名づけられた。

 

藤袴、初音、白菊,柴舟の香 (現代の商品)

 

 あと五日もすれば,春三月である。政宗や伊達の姫君たちは,ひな祭りを前にして茶を点てたり,香を焚いたり貝合わせをしたりして無邪気に笑って奥州の寒い日を楽しんだことだろう。

 

 

咲き花

三月とはいえ北国仙台は,まだ花の時期ではないため,本物の枝に紙

作った桃や椿の花を飾った「吹き花」と呼ばれる造花をお供えしていた。

 

貝合わせ

 

 今が冬の峠だ。寒い寒いと嘆いていても,なにも始まらぬ。ひな祭りに興じたり,お茶を楽しんだり,花を活けたり,ツクシやフキノトウを探したり寒い冬を笑顔で過ごしたいものである。