関流の馬上筒 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

火縄銃を切り口として
日本人を考えるブログ
です。

        

 公式ハッシュタグ 令和6年1月14日 骨董品ランキング3位

 これは,相馬中村藩の砲術師範家に伝わった関流仕様の馬上筒である。銃身には菊の字が,火挟みには朝顔の花が,それぞれ象嵌されている。口径は1.3cm,銃身長30.4cm,全長 49.6cmで福島県教育委員会の登録である。

関流仕様の三匁五分玉の馬上筒

関流の火縄銃は現存数が少ないが,同流の馬上筒は特に珍しいものです。
ジョニー・デップの海賊映画に出て来る鉄砲に似ていると思いませんか?  

 

  各地の催事で五回度ほど空砲射撃したが反動もなく演武のしやすい鉄砲である。関流の火縄銃は,近江国友の特殊技術と良質の鋼により作られているから,軽量で扱いやすい。関流の火縄銃は,銃身を留めるベルト(胴締め)といい長い用心金といい,鉄製のサク杖といい,どこか西洋の雰囲気を感じさせる。

 関流砲術は,研究熱心な流派である。幕末には,洋式銃の研究を行い,火縄式の馬上筒を雷管式に改良したり象限器を研究するなど,西洋砲術の技術の取り入れに積極的だった。

 

雷管式に改良した関流馬上筒

 

象 限 器

  

 関流砲術は、10匁玉筒以上の大口径火縄銃や大筒の遠距離射撃を得意とする砲術流派である。関流砲術というのは通称であり、正式には南蛮流というのが正しい名乗りである。これは流祖の関之信の師である丸田九左衛門が、長崎で南蛮人から遠距離射撃の極意を学び会得し,ヨーロッパの影響を色濃く受けたことに由来すると思われる。