岩手県盛岡市にある『もりおか歴史文化館』は,徳川家康が所持していた鉄砲を所蔵している。この鉄砲は,南部藩(岩手県)の南部利直が,将軍徳川秀忠から拝領したもので,「差取棹」との名を持つ鉄砲である。 この鉄砲の銃身には「差取棹 一夢(花押)」とみごとな象嵌がほどこされているから,稲富流砲術を興した稲富一夢が設計したものと考えて間違いはない。
徳川家康が所持していた鉄砲 「差取棹」
もりおか歴史文化館所蔵品ですので,複製防止処置を致しました。
稲富一夢の象嵌
もりおか歴史文化館所蔵品ですので,複製防止処置を致しました。
私は,この鉄砲を見たことはあるが,実際に手に持ったことはない。インターネットで検索したところ,下の画像を見つけた。この画像を観察するとこの鉄砲は,鉄砲掛け台なしに自立するように思われた。
私は『金山城伊達・相馬鉄砲館』の館長で,当館の展示品にも稲富一夢の鉄砲があるから,はたして自立するかどうか実験してみた。すると,なんと簡単に自立してしまった。
稲富一夢の鉄砲は,バランスがよいから,鉄砲掛け台なしに自立するのである。これには,私もビックリだった。バランスがよい鉄砲は,的中率が高いのだ。400年以上も前に亡くなった稲富一夢さんは,私の驚く顔を見て泉下で膝を叩いて大笑いしたかもしれない。
当館の玄関で自立する稲富一夢の鉄砲