有備館と東日本大震災 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 この日曜日に,宮城県の大崎市岩出山町にある有備館を訪ねた。有備館には,岩出山城の切り立った断崖を借景とした回遊式池泉庭園があり,何度訪ねても心がのびのびする場所である。最後に訪れたのは東日本大震災前だったから,十数年ぶりのことだった。

 

 岩出山城の断崖方向から見た有備館

 

 

池泉庭園には4つの島がある。

写真左の島には茶室があり,橋がかけられている。

 

 

 

借景となっている岩出山城の切岸断崖

     後ろの山が岩出山城本丸と切岸断崖

 

 有備館は,伊達家の家臣の岩出山伊達家が開いた学問所である。有備館とは、「史記」にある「文事有れば必ず武備有り。武事有れば必ず分備有り」に由来すると言われ,学問所としてはまさに好適な名前であろう。家臣が開設した学問所を「郷学」と呼ぶが,有備館は、仙台藩の藩校・郷学の中で最も早く開設され,仙台藩の藩校「養賢堂」よりも四十五年も前に開校されたと言われている。ただし,これには諸説ある。

 平成23年3月11日,この岩出山の町も震度6弱の地震に襲われた。この地震により有備館の主屋は,柱が倒れ屋根が落ちて倒壊し,付属屋も傾いてしまった。

 

地震により倒壊した主屋と傾いた付属屋

 

 

復元修理後の有備館

 

主屋は,茅葺屋根の書院造りで、現存する学問所としては全国で最古のものであった。国は,五年の歳月をかけ,倒壊した有備館を復元整備し,有備館とその庭園は,以前よりも立派な姿に生まれ変わっている。

 

          復元修理中の有備館

黒く見えるのが旧部材であろう。

 

 

主屋内部の復元状況

主屋内装で使われた旧部材は,欄間周辺のみのようである。内装で

         旧部材を多用すれば,ツギハギ状にならざるを得ないから,やむを得

         ないことではあろう。

 

 復元修理に当たっては,使える部材は極力利用するよう配慮したとのことだ。欲を言わせてもらえば,もうすこし古色を残した復元整備の仕方もあったのではなかろうか。とはいえ多くの人たちが苦労して,元に戻してくれたものだから,感謝こそすれ,とやかく言うのは,お門違いであろう。