昔から島国の日本は,国土が狭く資源が乏しいという大きなハンディキャップを抱えてきた。たとえば,鉄を作りたくとも鉄鉱石がない。鋼鉄を作るためには1800度の熱が必要だが,高温を発する燃料のコークスも日本にはなかった。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190921/03/toudou455/d1/d2/j/o0272020414594218389.jpg?caw=800)
写真引用 一般社団法人 日本鉄鋼連盟
幕末までの日本人は,鉄鉱石より質の劣る砂鉄と,木炭を燃料にして鉄を作ってきたのである。しかし木炭では,最高でも1200度くらいにしかならず,鉄は半溶解の飴状になるだけだ。しかも砂鉄と木炭で鉄を作るには,莫大な製作費が必要だった。重量二トンの鉄の粗鋼を作るには,砂鉄15トンと木炭15トンを必要としたのである。幕末までの日本人は,資源に乏しい国土の中で,周囲にあるものを上手に利用し,工夫を重ねて生きてきた。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190921/03/toudou455/75/4f/j/o0700052514594218390.jpg?caw=800)
木炭では,ここまで溶かすのが精一杯。
写真引用 一般社団法人 日本鉄鋼連盟
これは,日本人の長所でもあるが,反面,間に合わせで乗り切ろうとする短所とも見て取れる。物の溢れる現代では,間に合わせなどは,あり得ないという人がいるかもしれない。しかし,海外からの輸入が止まれば,またぞろ,同じような事が起きるに違いない。燃料用の原油が不足した第二次世界大戦前後にかけ、木炭を燃料とした木炭自動車が使用されたがいい証拠である。
木炭自動車
現在の日本の繁栄は海洋貿易により築き上げられた。日本のシーレーンに「機雷がまかれた」と噂が立つだけで、外国商船は一斉にストップしてしまう。有事発生となり護衛艦が必要になっても,すぐ護衛艦が手に入るわけもない。イージス艦一隻を建造するのにも3年はかかる。私は,絶壁オババのような防衛問題を軽視し嫌悪する人たちがいることを,心から残念に思うのである。