マウンテンマンを御存じだろうか。
マウンテンマンとは,アメリカ西部開拓時代、一丁の鉄砲だけを頼りに狩猟に明け暮れ,森の奥深くに棲み孤独と自由を愛した男たちのことだ。
そんな男が日本にもいて,冬の間は,毎朝,シカチャンを追い回して暮らしている。北海道の別荘へ鹿猟に行き,自宅にさっぱり帰ってこなくなった友人のKさんが,その人だ。
完璧な狙撃!
拡大すれば分かるが,シカの急所の首を銃弾が貫通している。
シカは即死で,肉が傷むこともない。完璧な狙撃である。
鹿の背中には,2/15と日付が赤スプレーでペイントされている。
この日付の入った写真と獲ったシカの尻尾を役所に持っていくと,
駆除料として8000 円もらえる仕組みになっている。
北海道の鹿猟は,10月から解禁される。今,Kさんは,鹿猟の準備に余念がない。今月になり,中古の農業用運搬特殊車両を改造してとうとう念願の鹿獲り用の雪上車を完成させた。これさえあれば,吹雪の吹き荒れる北海道の雪山でも怖いものなしで,鹿を追いかけるられるとKさんは企んだのである。
令和二式 鹿獲り雪上車
一丁前にダンプ式である。
ナンバーもちゃんとある。
しかし,この雪上車には大きな問題があった。車内にヒーターがないのである。この雪上車は,中古の農業用運搬特殊車両をベースにして改造したものであるが,農機具メーカーは,北海道の農家の人は,寒さに強いから凍え死ぬことはないと思っているのだろうか。もしそうだとしたら,とんだ勘違いである。前の所有者も車内の暖房問題には,相当頭を痛めたらしい。助手席の足元にヤグラを組んで石油ストーブを取り付けたほどだ。
助手席足元の石油ストーブ
しかもこの石油ストーブが,壊れて動かないのである。この農業用運搬車は,原野に置き捨てられていたものをタダ同然の値段で買ってきたのだから,売り主に文句も言えぬ。このことが韓国人や中国人に知られたら,「日本の雪上車の暖房は,石油ストーブだ。」とネットに書かれてしまうであろう。今,Kさんは,技術大国日本の名誉をかけて,この暖房問題に取り組んでいる。