鹿狩りをするため,北海道の温泉付き別荘に行ったKさんは,一向に帰って来る気配がない。ここ3か月の間は,今シーズンの鹿狩りに備え,雪上車を作っていたのだという。昨日それが完成したというメールをいただいた。
K さんの別荘は北海道の山の中だから,冬は雪がとても深い。そんな雪山で鹿を追うには,雪上車が必要だとK さんは力説していた。しかし昨シーズン,K さんは,軽トラを改造した鹿獲り用の偵察戦闘車で登別周辺の山中を駆け回り,86 頭ものエゾシカを射止めているのだ。
令和一式 鹿獲り用偵察戦闘車
たしかに,雪上車があれば,吹雪が吹き荒れようがドカ雪が積もろうが,エゾシカをどこまでも追跡できるだろう。だが雪上車がなくとも,それほどには困らないはずだ。私が思うには,雪上車作りは,K さんの大人の遊びに違いない。ジジイの鉄腕ダッシユのようなものであろう。
春になり鹿撃ちの猟期が終わって退屈になったKさんは,ついに雪上車を作ることを決意した。四月には,雪上車の本体にするため中古の農業用運搬特殊車両を購入した。
購入した農業用運搬特殊車両
そしてゴールデンウイークには,これに装着するキャタピラーをカナダの会社から取り寄せた。
取り寄せたキャタピラー搬送中の図
それから3か月かけて,完成させたのが,この令和二式鹿獲り用雪上車だ。最高速力は時速30キロだという。おそらく開発費には,材料代だけで100万円以上かかっているであろう。この男,バカかもしれない。どうして私の友人はバカばかりなのであろうか。まともな人間は私くらいのものである。こいつらの色に染まらぬように注意せねばなるまい。
令和二式 鹿獲り用雪上車