伊達道具は,戦わないための鎧であること | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

火縄銃を切り口として
日本人を考えるブログ
です。

        

  「伊達道具」という言葉をご存じたろうか。伊達道具とは,華美をつくした立派な道具とか、見栄や外見を飾るために身につけた学問や技芸などを言う。例えば伊達メガネなどは,一番わかりやすい例だ。バカ娘が,何を間違えたか学習院や聖心のようなお嬢様学校に合格したりすると,親戚連中が「いい花嫁道具ですね。」などと心にもないことを口にする。これも伊達道具と言って良いだろう。

   江戸時代には,大名や上級武士が,御行列の時に持ち歩いた華美な道具や武具を伊達道具と呼んでいた。天明8年に書かれた『東遊雑記』には,道中でみた仙台藩の行列の様子を「すべての士格伊達道具を連ね、目を驚かせし供廻りなり。」と記されている。私も伊達道具と呼ばれる骨董品をいくつか持っている。その中で最も良い物はこの弾薬箱だ。

 

    

 

美術商の話では京都にあった嵐山美術館の旧蔵品だというが,当てにはならぬ。全面が黒漆で厚く塗られ,葵の紋が赤漆で描かれた桑名藩の背負い式の弾薬箱だ。会津藩と共に幕末の動乱に乗り出した桑名藩の意気込みが伝わってくる。この弾薬箱は,実戦よりも桑名藩の武威を示すために作られた伊達道具に相違なかろう。武器や兵装品は見栄えも大切だ。見栄えが良いだけで,敵を威圧し敵の士気を挫くことができる。

 

  今の男たちがロレックスの腕時計を欲しがったりするのも,伊達道具だ。男たちにとって,ロレックスは一種の鎧のようなものなのだ。私がこの弾薬箱をことさら言うのも,自分のコレクションの信頼性を高めるための伊達道具だ。伊達道具は,単なる見栄や驕りではなく強力な武器になりうる。

   さて武漢ウイルスのおかげで,国から10万円が貰えるから,貯金などせずに伊達道具をドンドン集めよう思う。明日の行く末さえ分からぬジジババ達は,贅沢三昧をして市場にお金をバラ巻き日本経済を回すようにせねばならぬ。