火縄銃の口薬と口薬入れ | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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火縄銃の射撃には二種類の火薬を用いる。粒状の黒色火薬とそれを粉末にした点火用の口薬と呼ばれる火薬だ。粒状の黒色火薬は,火縄の火を付けても着火し難い。粉末状にした火薬は,すぐ火が点く。火薬を粉末状にすると性質が極端に変わり燃焼力が強くなるからだ。

 銃身内に詰めた黒色火薬に点火するための口薬は,粒上の黒色火薬を乳鉢に入れ擂り潰して自分で作らなければならない。

 

 

口薬は銃身に火薬と弾丸を装填した後,火蓋を開いて,火皿に注ぎ入れる。口薬は,導火線の役割をするので,火道を通って銃身内の薬室に届くように注意して盛り込まなくてはならない。導火線が途切れてしまえば,薬室内の火薬を燃焼させることが出来ないからである。

 

          火薬と弾丸を装填したら,火蓋を開き,火皿に口薬を注ぎ入れます。

 

 

          口薬を注いだら,口薬が薬室まで届くよう鉄砲の後ろ側を叩いてやります。

          十分に注がれたことを確認したら火蓋を閉じます。

 

 

                 火皿や火蓋周辺に,口薬が付着しいた時は,暴発の原因

                 なりかねないので,息を吹きかけて,これを吹き飛ばします。

 

 

火薬を粉末状にすると着火し易いだけでなく,火薬そのものの性質が変わり燃焼力が強くなる。口薬が,通常の火薬に交じり込んでしまうと危険である。下手をすれば銃身内を痛めしまうだろう。

口薬は,燃焼力が強いためもあるが,一発撃つごとに火皿に盛り付けなければならないから,口薬入れと呼んでいる容器に入れ,通常の火薬とは分けて管理している。

 

     口薬入れ

私は,演武には骨董品の口薬入れは用いていない。これは四国の丸孝工房さんにお願いして作ってもらった現代作の口薬入れである。

   

        蓋を閉じた状態                 蓋を開けた状態。蓋から手を放すと自重で

                                   蓋は,押し下がって注ぎ口を塞ぎます。

                                     

口薬入れは、長さ5 8 cm で水筒型をしているものが多い。『戦時は鎧の胸板に結び付けて用いろ』と雑兵物語は教えているが,現代の火縄銃演武では,口薬入れを腰から提げて用いているのが多いだろう。

                 口薬入れを腰に提げた射手

      左は火薬入れ,右が口薬入れ。

 

口薬入れは,口薬を火皿に注いだ後、手を放すと蓋が自分の重みで糸を伝って下がっていき独りで注ぎ口へ被さる仕組みになっている。こういうところにも,日本人の工夫好きが見て取れる。