こんにちは、naoです。


数日前のブログで、ビデオ屋の2階に住んでいた事を書きました。




今回はこの物件にまつわる不動産屋とのトラブルの話をします。


わたしが結婚したのは、27歳の時でした。

妻もわたしも実家暮らしでしたので、結婚してから初めて家を出たことになります。


結婚式を3ヶ月前に控えた頃、新居となる賃貸物件を、わたしの実家から一番近い駅を中心に、婚約者(今の妻)と探していました。

賃貸物件を自分で借りたことが無いので、不動産屋を何件も周って、内覧しまくりました。


B不動産(仮名)もそのうちの一つで、これといっていいなと思った物件も無かったので、帰ろうとしていた時。

B不動産の推定60代の女性社長が不動産屋の玄関先に車で現れて、
「たった今、新しい物件が出たのだけど見ていく?」
と、私たちに言ってきました。

急ぐこともなかったので、その物件の話を聞くことにしました。
社長は今さっき、大家から聞き取ったメモを私たちに見せてくれました。

間取りは2DKの洋室8畳、和室6畳。
築はちょっと古めの10年。
風呂、トイレ別。
家賃は相場より少し低め。
駅から徒歩10分。

ここまでは、色々と探していた物件とほぼ一緒でした。

ただ、他の物件と少し違っている点が有ったのです。
それは、ほぼ一軒家だった事です。
以下は、その後に内覧してきた様子です。


外から見ると一軒家で、1階がレンタルビデオ屋。
住居となる部分はレンタルビデオ屋を通らない、内階段を昇った2階に有ります。

築10年と言ってましたが、汚くはないのですが、建物の作りから20年近いのではないかなと思いました。

2階部分の半分は、歯科医院をやる予定だった跡地で、歯医者にある椅子が3脚置いて有り、レントゲン室(部屋のみ)や歯の治療をする設備がそのまま残っていました。

これは事前説明でも聞いてはいました。

なんで、歯科医の設備が残ったままなのか、気になるので、突っ込んで不動産屋の社長から聞きました。

それによると、大家はちょっとした資産家で、ここの物件以外にも、駅前に本屋を1軒経営していて、ここの物件以外にも不動産を何軒か所有しているそうです。

そして、大家の息子は歯科医を目指していて、どこかの歯科大を卒業したそうです。

しかし、何度も国家試験に受からなくて、受験を断念しました。

結局、親(大家)がすぐに始められるようにと用意した歯科医院の設備を使うことが出来ないので、そのまま放置しているとの事でした。

私たちに貸そうとしている物件も、歯科医になった息子夫婦が住む予定だったそうです。

なぜ、国家試験に受かっていないのに、そんな先走って用意したのかを、疑問に思いましたが、それは置いといて契約することにしました。

契約の一番の決め手は、私たち夫婦はお互いが一軒家住まいだったので、一軒家の賃貸物件が気に入ったからです。

メゾネットの家は何軒か有りましたが、独立した家の賃貸物件は初めてでした。


即決めた事で、余計な広告費を使わなかったと言う理由で、さらに家賃を下げてもらうこともできました。


ここには夜間でも気兼ねなく友人達を迎え入れることが出来、大変気に入っていました。


それから更新時期の2年が経つ直前に、B不動産の社長から1本の電話がきました。

「更新時期が近づくけど、大家さんが更新できないと言うので、3ヶ月後に明け渡して欲しい」と言ってきたのです。

こちらは家賃の滞納や、近隣トラブルなど全く無く、追い出される覚えがない事なので、事情を詳しく聞きました。

それによると、バブルがはじけて、大家の資金繰りが難しくなり、息子夫婦を私たちのいるところに住まわせたいとのことでした。

自分たちの都合で、私たちを追い出すのだから、それなりのお金を出して欲しいと、社長に伝えたところ、「あちらはお金に困っているから、それは言えない」と言ってきたのです。

たったの2年のために、礼金、敷金で4ヶ月分を払って、相手の都合だけでそれも放棄して出ていくわけにいきません。

また、仲介としているはずの不動産屋が、完全に大家寄りなんです。

わたし達は理論武装するために、市でやっている弁護士相談に行き、専門家の意見を聞くことにしました。

弁護士の話だと「大家が理不尽すぎる。礼金、敷金の全額返金と、引っ越し費用くらいは請求しても当たり前」との事でした。

不動産トラブルの本などを見ても、同様のことが書かれていたので、不動産屋に掛け合いに行きました。


しかし、「それは言えない」の一点張り。
妻は泣き出すし、わたしは怒りが絶頂に達し、「こちらで、勝手にやる!」と言い放ち、不動産屋を後にしました。


こうなったら、大家に直接掛け合うしか有りません。


内容証明付きの郵便で、慰謝料も含めた金額を提示して、大家に差し出しました。

その中には、もしこのままだと、居住権を主張して、居座る旨も書いておきました。

大家は早く出て言って欲しかったのか、日時を指定して自宅に来て欲しいと申し出て来ました。
(今考えたら、普通は大家から出向く事だと思いますが)

そして、大家の自宅に行くと、提示した金額に少し色をつけた現金が入った封筒を渡され、1ヶ月以内に立ち退いて欲しいと言われました。

こちらとしても、嫌な思い出を引きずりながら、残りたくはないので、すぐに新居となる物件を探して、引っ越しをしました。

このやりとりで一番面白くないのは、不動産屋です。
大家から話が決着した事を聞きつけて、社長自らがやって来ました。

「仲介役の私たちを通さないで、何勝手な事してくれてるの?」

わたしも思いっきり、反論しました。

「仲介というのは、両方の意見を聞いて、お互いの妥協点を見つけるのが仕事でしょ?
最初から、大家寄りの話をしている、あなた達に何を任せることができると思う?
もう、全て当事者間では終わったことなんだから、今更しゃしゃり出て欲しくないですね!」

こう言い放って、不動産屋を出て行きました。


さて、翌日の朝。

今までしっかりと壁についていた郵便ポストが、剥がれ落ちてました。