きょうは仕事の帰り、図書館に立ち寄り、
「公務員は国保に入れ」
の全文をゲットした。

公務員は国保に入れ(インタビュー領空侵犯) 慶応大学教授 片山善博氏

保険財政、一挙に改善 2010/9/6付 日本経済新聞 朝刊


 ――公務員専用の医療保険制度は廃止すべきだとのお考えのようですね。

 「そもそも公務員が自分たちだけの特別の仕組みを持っていることがおかしいのです。公務員は国民の生活を安定させるために、奉仕する立場のはず。それなのに一般の国民と同じ制度に入っていたのでは十分な保障が受けられない、いい生活ができないといわんばかりです」

 「日本の公的医療保険は、大企業の従業員などが入る健康保険組合、中小企業従業員の協会けんぽ(全国健康保険協会)、公務員の共済組合などに分かれています。このどれにも入らない自営業者らが市町村が運営する国民健康保険(国保)に入ります。ただし医師や弁護士などには自前の国保組合という制度があります。要するに国保には零細自営業者や退職した高齢者、無職の人たちが多く加入し、働いて保険料を納める人が少ないという構造的問題があるのです。公務員はこの国保に加入するようにすべきです」

 ――公務員だけがなぜという不満も出そうです。

 「保険制度の原点に戻るべきです。保険は老いも若きも富める人も貧しい人も一つの制度に入ってこそ安定します。職業に関係なく地域単位ですべての人が加入する制度をつくるべきなのです。その理念に向かってできることから始めるべきで、その第1ステップが公務員の国保加入なのです」

 「公務員は自分や家族にもかかわるので、問題だらけの国保をよくしようと真剣になるでしょう。安定した収入がある全国の300万人を超える公務員が国保に入れば、国保の財政状況の改善に大きな力となります。国保を助けるために、国保から75歳以上の高齢者を切り離して後期高齢者医療制度という評判の悪い仕組みをつくったわけですが、こんな対策も不要になるでしょう。そのうち市町村国保は他の制度加入者がうらやむほどの安定した制度になり、会社員も国保に移ってきて、最終的にはすべての人が同じ制度に加入する一元化が完成するのです」

  ――実際には障壁がたくさんありそうです。

 「この改革は一石二鳥どころか三鳥の改革なのです。一つは国保の問題の解決。もう一つは公務員が国民と同じ立場になるという公務員制度改革の実現。そして共済組合という組織を大幅に縮小させる行政改革の実現です」

 「日本が置かれた難局を乗り切るためには、まずは自らの身を切る。政府・民主党は内輪の争いをしている場合ではなく、それぐらいの覚悟を示してもらいたいものです。 それでこそ国民も政治が変わったと思うでしょう」

 かたやま・よしひろ 1951年生まれ、岡山県出身。74年東大法学部卒、自治省(現総務省)入省。鳥取県総務部長などを経て、99年鳥取県知事に当選。2007年から現職。行政刷新会議議員なども務める。

〈聞き手から〉
 政府の公的医療保険制度に関する説明資料では共済組合についての記述が少ないことが珍しくない。これ一つとっても「優遇制度を隠しているのでは」との疑念を招く。片山氏の提案を実現するには課題が多いが、国民と同じ立場で国民のために働くという公務員のあり方がいまこそ求められているのは確かだろう。
(編集委員 山口聡)