「らくごのご」(1996.3.7テレビ朝日(関東))
毎度おなじみの桂ざこばと笑福亭鶴瓶の「らくごのご」。
今回は、お待ちかね、「らくごのご」イン ハワイ(2月17日)です。
ゲスト:なし
お題:広報活動、日向ぼっこ、ショッピング
(飛行機の中、ハワイの町の中などでお題を集め、夜、ホテルで
披露されました。作は、構成作家(氏名 失念)です)
「添乗員」---4人漫才。いつものお二人に、桂春之輔、酒井ゆきえが参加。
ホテルでの添乗員への苦情の電話がテーマ。添乗員は釣瓶師匠。
お題のところだけ---
ハワイが寒いと、酒井ゆきえさんが訴えます。<日向ぼっこ>ができない
~~~。
酔ったざこば師匠が、酒の催促をします。サービスがよいと、帰ってみんなに
紹介するよ。一種の<広報活動>やね。
$500が$200しかないと、春之輔師匠。<ショッピング>で使ったんでしょ。
さげは、ざこば師匠が部屋に添乗員を呼んで、上で変な音がするから調べる
ように強要します。「なんであがらないけへんねん」「なんでて、天井イン
やないか」
(お待ちかね、拙作です。ほんとは、本番が漫才だからパスしようかとも
思ったのですが、これも勉強ということで……)
A「どうした、青い顔して」
B「あきまへんわ、支店長、今月も赤字ですわ。もうあきらめて、店じまいしたら
どないでっか」
A「何いっているんだね。この地域の奥様たちの熱意によって、ここにデポを
構え、社員にもなっていただき、こうして、なんとか売上げも上昇して
きたんじゃないか。それをここで店じまいなんて、できるわけがないじゃ
ないか」
B「確かに、売上げはなんとか、右上がりにはなってますけど、それにもまして、
経費がかかり過ぎてます。なんとかせんと、赤字がかさむばっかりです」
A「それにしても社員の人たちは、ほとんどパートタイム制だし、繁忙期は
アルバイトを雇っているし、人件費の削減はもうぎりぎりだよ」
B「そうですね、売上げを増やすようにするしかありませんねえ」
A「会員増加だよ、会員募集のキャンペーンをしよう」
B「それは結構ですが、どうやって」
A「社員のみなさんに、<広報活動>をしていただくんだ。隣近所親戚の人を
勧誘してもらって、できるがぎりここで買い物をしていただくように
するんだ」
B「それはよろしいな、それやったら、経費もかかりませんし……」
A「それじゃ、ちょっと、昼食時間に話し合いを持つということで、みんなに
連絡しておいてくれないか」
B「わかりました」
(間)
A「みなさんにお集まりいただいたのは、ほかでもございません、当デポの経営
状態が予想を下まわっており、このままでは、店舗の閉鎖という事態も
考えられます。
この情況を打開するには、売上げの増加しかありません。まず、会員を
増やすこと。みなさんのお住まいの周辺の方にお声をかけていただき、
会員になっていただくよう努力していただきたいと思います。また、今回は
自由討論会といたしますので、いろいろのアイデアを提出していただきたいと
思います」
C子「ハイ」
A「ア、どうぞ」
C「ここはベッドタウンの中で、売上げはそこそこ見込めると思いますが、
駅からは離れており、これ以上のものを望むには、車の利用者を考えないと
いけないと思います。ところが、当デポはせいぜい荷物の積み下ろし用の
スペースしかなく、お客さんのための駐車スペースがありません。これでは、
お客様にゆったりとした<ショッピング>の感覚を持っていただくことは
できません」
A「ああ、駐車場ですか。そうですねえ。集客能力の一つの要素ですねえ。他に
ありますか、どんどん提案して下さい」
(間)
C「あ-あ、疲れたわあ」
D子「ほんまやなあ、会員募集というのも大変やなあ」
C「月一回ビラをまいて会員募集してたけど、あんまり会員もふえへんし、
売上げもふえへんし、ここは個別訪問しかないと思て、ポランティアさそて、
やってきたけど、こんなきついと思わなんだわ」
D「最近のマンションはエレベータついてるからええけどなあ、古いのんは、
エレベータがついてへんからなあ」
C「それに、一軒ずつ階段を上がり下りせなあかんしなあ」
D「足が棒みたいになってしもたわ」
C「そこの公園のベンチで休もか」
D「ええ天気やなあ」
C「雲一つないいうのんはこんな天気やなあ」
D「うん、……」
(間)
C「ハクション」
D「ハクション」
C「あ-、ええ天気やったからな、ポカポカ<日向ぼっこ>して、寝てしもて
たんやなあ」
D「あ-、もう日が傾いてきたんやなあ」
C「そろそろ帰ろか」
(間)
A「どうやった、会員の獲得できたか」
C「いや、なかなか、うまいこといきまへんわ」
A「そうか、いよいよ、このデポも最後かな」
D「そんな心細いこと言わんといてください」
B「そない言うても、利益が出んことには、続けていくことができんように
なるんや」
C「そんなことはわかってますがな、利益が出るようになったらええん
でっしゃろ」
A「なにか、いい策があるか」
C「日本中がびっくりするようなこと、毎日やりますねん」
B「みんなが注目するわけや」
A「それでもなあ……」
B「なんか、ご不満ですか」
A「それでは、ショッピング・センターではなくて、ショッキング・センター
だよ」
終わり
(実在の場所、人物等とは一切関係ありません)