2012年2月29日 08:00 (サンケイスポーツ)
虎・新井“弾”違いや!進化証明、右へ一撃

“今季1号”を放った新井(撮影・塩浦孝明) (サンケイスポーツ)
(練習試合、阪神6-6DeNA、28日、宜野湾)万全証明の一撃だ! 阪神・新井貴浩内野手(35)がDeNAとの練習試合(宜野湾)で、右翼席へ豪快な“今季1号”を放り込んだ。7年ぶりの優勝へ、猛虎の4番が春キャンプ最後の実戦で、順調ぶりを結果で示した。
バットから全身へ。確かな手応えが伝わった。新井の“今季1号”は右翼への美しいアーチ。猛虎の主砲が、中畑DeNAに怖さを刻みつけた。「うまく振り抜けたんじゃないですかね。ちゃんとバットに(ボールが)乗ってくれた。調整はいい感じです。自分でも久しぶりの感覚というか、振り抜き方でした」4点を追う二回。先発・ブランドンを打ち砕いた。1ボールから3球続いた外角直球の3球目。143キロを一閃。左翼から右翼方向へ吹く強い風にも乗り、白球は軽々とフェンスを越えた。キャンプ最後の実戦で、調整の順調さを証明する一撃を放った。
試合前には駒大の先輩であるハマの新監督から先制攻撃を受けたが、バットでやり返した。弟の良太が先にあいさつを済ませ、少し遅れて兄が出向くと、敵将は「おまえら一緒に来いよ!」と笑顔で一喝。苦笑いを浮かべるしかなかったが、そんな“口撃”にも倍返しで苦いイメージを植え付けたはずだ。
打撃時の下半身の使い方、意識の置き方を変えた今季。自然とフォームも微調整された。スタンスはオープンからスクエアに。伸びていた背筋は少しだけ前傾した。「自然とそうなっている」新フォームがフィット感を増し、大砲のスゴ味を増している。和田監督は、「やっぱり反対方向に大きいのが打てるとなれば、相手の攻め方も変わってくると思う。新井にも幅ができたというところを見せられたんじゃないかな」と大きくうなずいた。
昨年はオープン戦期間中に東日本大震災が発生した。労組・プロ野球選手会の会長として開幕問題に奔走し、心身を疲弊。実戦24打席連続無安打を記録したほど調整に苦しんだ(開幕前の実戦打率・192)。シーズンでも打点王を獲得しながら、勝負弱さを指摘される不本意な1年になった。そうした苦労を乗り越え、決意を新たにした今年、調整は順調すぎるほどうまく進んでいる。四回先頭でも左前へフワリと落とすヒットで出塁し、2打数2安打でお役ご免。ここまでの実戦4試合で、9打数5安打の打率・556、1本塁打3打点と好調をキープする。残す結果が、4番は俺だと語っている。「まだまだ開幕は先なので、逆算して、いい調整をしていきたいですね」充実のキャンプを過ごしてきた新井が、次の段階へ進む。DeNAと相まみえる3月30日の開幕戦(京セラD)。万全に仕上げた新井が、猛虎の主砲として敵を迎え撃つ。
2012年2月29日 08:00 (サンケイスポーツ)
虎・伊藤隼、マルチで始まりマルチ締め!

八回に加賀から痛烈な中前打を放った伊藤隼(撮影・森田達也) (サンケイスポーツ)
(練習試合、阪神6-6DeNA、28日、宜野湾)阪神のドラフト1位・伊藤隼太外野手(22)=慶大=が練習試合・DeNA戦(宜野湾)に「7番・中堅」で先発出場。4打数で2安打を放った。実戦初出場の練習試合・日本ハム戦(12日、宜野座)でも2本の安打を放った黄金ルーキーは、今キャンプを2度目のマルチヒットで締めた。
力強くとらえた打球が中堅手の前で弾む。このシーンを2度演出して見せた。伊藤隼が沖縄での最後の実戦をマルチヒットで締めくくった。「いままでやってきたなかで、(これからは)実戦が多くなってくる。それからです。現時点で評価を出すのは難しい」
開幕カードの相手から放った2本のヒット。まず魅せたのは、四回だ。二死走者なしで左腕・藤井と対決。フルカウントからの6球目。外角119キロのスライダーを大学時代から使ってきたメイプル製の白いバットの先で拾って、器用に中前へ運んだ。2本目は八回一死。今度はキャンプで使い分けて試してきた、しなりがあるホワイトアッシュ製の黒いバットを選択して打席に入った。そして右横手投げの加賀が投じた133キロの真っすぐを一閃。ライナー性の打球がまたも中前で弾んだ。
キラリと輝いたルーキーだが、同時に悪い面も出た。2度「H」ランプを灯したものの、ほかの2打席はともに見逃し三振。どちらも外角低めの変化球に手が出なかった。和田監督も「両極端だったな。三振してもいいんだけど、見逃しというのは何も起こらないんで」と渋い表情。さらには「結果だけ見たら4打数2安打でいいかもしれないけど、打たなくていい打席はひとつもないわけだし、すべての打席で何とか食らいついて、結果を出していく姿勢が出てきてほしいね」と課題を挙げた。
才能を感じさせるルーキーに対し、首脳陣は1軍だけでなく、今後はファームの試合にも出場させより多く打席に立たせる方針。経験すればするほど吸収していく素材に期待をかけている。「まだまだです。残りの打席が…。空振り三振ならまだいいんですけど」。笑顔は見せずに帰りのバスに乗り込んだ伊藤隼。周囲の期待が大きいことはもちろん理解している。だからこそただ打っただけでは満足できない。虎の慶応ボーイは泥臭さを売りに、この日の2安打を次につなげていく。
2012年2月29日 08:00 (サンケイスポーツ)
虎・和田監督、豪語!中畑に「熱さで勝った」

試合前「熱くなれ!! 熱いぜ! イヒヒ~」とにじり寄る中畑監督(左)に、押され気味の和田監督だったが…(撮影・塩浦孝明) (サンケイスポーツ)
(練習試合、阪神6-6DeNA、28日、宜野湾)中畑DeNAとの初対戦を終えた阪神・和田豊監督(49)は「熱さでは勝っていたんじゃないかな」と胸を張った。スローガンも「熱くなれ!!」(阪神)、「熱いぜ!」(DeNA)と酷似しており、試合前のパフォーマンスでは、やや押され気味? だったが、一発あり、小技ありで珍しく“豪語”。中畑監督も思わず弱音を吐いた。
普段よりも声を張っていたような気がする。試合後の監督室。DeNAの印象を問われた和田監督はこちらが思わずギョッとしてしまうようなコメントをした。スコアはドロー。でも、やっぱりアノ部分で戦っていた。「試合は引き分けだったけど、声も出とったし、熱さでは勝っていたんじゃないかな」
もちろん、勝っていたのは、自軍のこと。スローガンが似ていること(先に発表したのは虎なのだが…)でも注目されたプレ開幕戦。4点を追う展開を新井の一発を皮切りに大技小技で追いついたからだ。実は試合前にこんなシーンがあった。チームは宜野座で練習した後、宜野湾入りしたが、到着と同時に三塁ベンチ前で、拍手で待ち構えてくれていたのは中畑監督だった。中畑監督 「新人監督じゃないみたいだよ」和田監督 「よぅいいますワ」中畑監督 「あれ!? 熱くなれ、だったっけ!? 互いに熱くなろうぜ! 熱く頑張ります! イエ~ィ! 熱くなれ!! 熱くなれ!! 熱くなれ!! 熱いぜ! イヒヒ~」和田監督 「…。投げやりですね…。九回裏までお願いします」暑苦しい(?)お出迎えにも、いつもの冷静なマスクは外さず。練習試合では珍しい、ベストメンバーに近いものを組み、価値ある引き分けだ。「(相手が)変わろうとする姿がチーム全体から伝わってきたし、やっぱりそれはウチも一緒なんでね。こちらも『熱くなれ!!』というスローガンを前面に出して、戦っていきたいと思います」ちなみに試合後、中畑監督は阪神について、「集中力というか、たたみ掛けられるし、一発の怖さがある。空中戦になるとウチは弱い」とポロリ。カウンターパンチ大成功といったところか。