大阪府市一体化へ始動 「統合本部」立ち上げ
2011年12月27日 http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201112270051.html
松井一郎大阪府知事と橋下徹大阪市長は27日午前、大都市制度の改革や二重行政の見直しを進める「府市統合本部」の初会合を府咲洲(さきしま)庁舎(旧WTC)で開いた。2015年度の大阪都移行に向け、来秋に詳細な制度案を国に示す工程表をまとめ、地下鉄民営化や水道統合など7事業に最優先で取り組む方針を決めた。二重行政の無駄を省き、府は地方交付税の不交付団体をめざすとした。
統合本部では今後、大都市制度のあり方と府市の広域行政の一元化について、それぞれ専門チームを立ち上げて検討。府市がばらばらに進めてきた成長戦略や、教育・職員基本の両条例案について議論を進め、統一方針を決める。
工程表によると、来年2月の府・市議会に都構想推進協議会の設置条例案を提出。4月には協議会を発足させ、9月議会で制度案の議決をめざす。地方自治法や関連法改正を国に働きかけ、首相の諮問機関で都市制度のあり方を検討する第30次地方制度調査会の答申に大阪の提案を反映させることも目標とする。15年春には府市を再編・分割して都と特別自治区へ移行させる。
広域行政については、地下鉄、バス、水道、一般廃棄物、消防、病院、港湾の7事業について、経営形態の変更を優先課題に挙げた。いずれも都の発足前に事業一体化や民営化に着手。来年9月をめどに順次具体案を示すとしている。公営住宅や文化施設についても課題の整理を急ぐ。
府市統合本部発足「大阪都」に向け本格始動
< 2011年12月27日 15:29 >
大阪市・橋下市長と大阪・松井府知事は27日、府と市の問題を一元的に扱う「府市統合本部」を発足させた。「大阪都構想」の実現に向け、本格始動となる。
府市統合本部は、大阪都構想に向けた具体的な制度設計や、府と市の二重行政を解消するための事業仕分けなどを行うもので、本部長に松井知事、副本部長に橋下市長、特別顧問には元経済企画庁長官・堺屋太一氏、元経産省官僚・古賀茂明氏らが就任した。
27日の会合では、地下鉄の民営化などの改革で年間4000億円の財源確保を目指すことが確認された。会合後、橋下市長は「まったく同じ価値観のトップが2人いるということが、これだけ物事を迅速に決めることができる(わけです)。将来的にも、しっかり制度化しようというのが大阪都構想です」と述べた。
府市統合本部は、来年9月をメドに大阪都構想に必要な法改正について具体案をまとめ、国に提案する方針。
橋下氏、二重行政解消へネジ巻く…地下鉄・水道
大阪府市統合本部会議を終え、松井知事(左)と話し込む橋下市長=近藤誠撮影
大阪府と大阪市の広域行政を一体化する取り組みが動き出した。
大阪維新の会が圧勝した大阪ダブル選からまる1か月の27日に発足した府市統合本部。「二重行政」と指摘されてきた大型施設や水道事業のほか、地下鉄、都市開発、教育改革と、扱う分野は多岐にわたる。府市を再編する大阪都構想に向けて、橋下徹市長、松井一郎知事のかじ取りが本格的に始まった。

◆うめきた
JR大阪駅北側のうめきた(梅田北ヤード)2期地域17ヘクタール。街づくりの権限は政令市である市が一元的に握るが、統合本部で検討することが決まった。橋下市長はこの日、「市役所の判断だけではダメ。府市合同でデザインを」と訴えた。
橋下市長は「市民が憩う森に」として、府市共同で用地購入するプランを明かしている。ただ、購入費だけで少なくとも870億円との試算もあり、市の担当者は「費用の工面は簡単ではない」と話す。
橋下市長が民営化を掲げる市営地下鉄、バスを統合本部で取り扱うのも、「大阪全体の都市戦略にかかわる」(維新幹部)との判断からだ。民営化の手法に加え、延伸や新規路線の整備についても協議する。
◆「無駄の典型」
「無駄な二重投資の典型」との批判にさらされていた府市の水道事業を巡っては、橋下市長が知事時代、平松邦夫前市長と統合協議を進めたが、最終的に頓挫。府が4月に大阪市を除く府内市町村と「大阪広域水道企業団」を結成した。
市は来年2月議会で企業団参加に向けた手続きをスタートさせ、2015年度に組織統合を実現する方針だ。橋下市長はこの日の会合で、「水道(統合)を成功させないことには、統合本部全体のイメージダウンになる」とねじをまいた。
このほか、府市が別々に手がける公営住宅や病院、文化施設も一体運営の手法を協議する。府内市町村の消防組織も、大阪市消防局を中心に一体化し、「大阪消防庁」の創設を目指す。
(2011年12月27日14時38分 読売新聞)

