混戦、4強が軸 全国49代表、担当記者が分析
2011年8月4日17時54分

地方大会の成績

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 第93回大会は6日に開幕し、15日間にわたって阪神甲子園球場を舞台に熱戦が繰り広げられる。地方大会には今年も、4千校超が参加した。取材にあたった4本社スポーツグループの担当記者が、49代表の実力を探った。

■〈頂点へ有力〉聖光学院「東北初」へ充実

 D 5年連続出場、県内公式戦61連勝の聖光学院の評判がいいね。

 C 昨夏の8強入りに貢献した歳内、芳賀の2本柱を擁し、打線は最初のストライクを積極的に振る。走塁も思い切りがいい。無安打でも1点を取れるうまさもある。

 A そして何より、東日本大震災と原発事故でうちひしがれた故郷に希望を、という大きな目標がある。福島大会決勝で勝った後も、選手たちはガッツポーズをしなかった。頂点だけを見据えている証拠だ。

 D 心技体のすべてが充実。福島勢はもちろん、東北初の大旗へ機は熟した、といったところか。

 C ポイントは最大の強みでもあるエース歳内。酷暑の連戦でスタミナが気がかりだ。控えの芳賀も力のある投手だが、どこで投げさせるか、監督の決断が頂点へのカギを握る。

 B 東西東京の代表は今年も総合力が高そうだ。実力的には聖光学院にひけをとらないだろう。

 A 帝京、日大三、ともに投打の軸がしっかりしているね。前田、小倉両監督も甲子園での戦いを熟知する。

 D ただ、日大三の攻撃は力でねじ伏せるスタイル。小技で相手投手を崩す戦法はあまり得意でなく、好投手と対戦したときや、打線の点火が遅れると一気に窮地に立ちかねない。帝京は1年生捕手の石川が初めての甲子園で冷静にプレーできるかどうか。

 E 選抜準優勝の九州国際大付も、持ち前の強打で春夏連続出場を果たした。ここも聖光学院と同様、エース三好が優勝へのキーマン。今夏は7、8割の出来だった。大会前に体調を崩し、期間中に投げ込みができるまでに回復したけど、早く本調子に戻らないと苦しい。

 D 優勝の行方はこの4校が中心だろうけど、昨夏の興南(沖縄)のような「死角無し」ではなく、どこも弱点を抱えているわけだ。それだけに、激しい争いになるだろうね。

■〈追う強豪〉投の東洋大姫路・智弁学園

 B この4校に迫るのはどこだろう。

 D 大会屈指の右腕原を擁する東洋大姫路かな。140キロを超える直球を内外角に投げ分ける制球力がある。

 C 加古川北との決勝では、引き分けた延長15回と再試合の9回を1人で投げ抜いた。決勝は7月30日だったし、本大会までに疲れが抜けきれるか。

 D 右なら智弁学園の青山もいい。手元で鋭く変化するスライダーにはてこずらされそう。チームに昨夏の経験者が7人残るのもプラス材料だ。

 C 絶対的なエースはいないけど、選抜8強の智弁和歌山も勝ち上がる力はある。強肩捕手の道端が投手陣をうまくリードしている印象だ。打線も上位から下位まで穴がない。ただ、過去数年と比べるとやや小粒かな。

 D 大阪を勝ち抜いて初出場する東大阪大柏原も有力だ。上位打線がパワフルで、4番の石川慎は大阪大会の打率が5割7分1厘。高校通算本塁打は50本を超えている。

 A 逆に長打は少ないけど、習志野の振りは速くてコンパクト。4番がバント安打を狙ったり、三盗を仕掛けたりと面白いチームだよ。

 E 春の関東大会も制していて、春の各地区大会優勝校の中では、今回唯一の出場だね。

 A 春夏連続出場の光星学院にも注目したい。選抜でも打力は際立っていたけど、さらに迫力が増した。青森大会では6試合無失策と、堅守も光っている。

 E 神村学園も、欠点を挙げるのが難しい。特に目を引くのは走塁。今年2月に昨夏優勝の興南を訪れ、次の塁を狙う意識が高まったそうだ。

 B 激戦区の神奈川では選抜優勝校の東海大相模を破って、横浜が上がってきたね。春は力を出し切れずに初戦敗退した印象が強いけど。

 A メンバーも変わって、春とは全く違うチームに仕上がっている。東海大相模戦では犠打7本で競り勝った。ずば抜けた選手はいないけど、試合巧者ぶりが際立っている。

 C 経験のあるチームは侮れない。2年連続13回目の明徳義塾も試合運びはさすが。攻撃はやや地味だけど、着実に1点を積み重ねる。怖い存在になりそうだよ。

■〈好チーム〉古川工に地力、粘りの至学館

 A 春夏連続出場組に楽しみなチームが多いね。

 D 選抜8強の北海は天理戦で完封した2年生右腕の玉熊が、安定感を増しているよ。

 B 日本文理は2年前の準優勝の時と同じような強打のチーム。3番の湯本は広角に打てる。

 C 関西は右腕水原と左腕堅田が、ともに先発も救援もできる。

 E 東日本大震災の被災地の代表も、上位をうかがう。

 A 古川工は県内で着実に力をつけての初出場だ。主戦山田は力投派で、連投にも強い。

 D 花巻東は、左太もも裏を痛めていた191センチ右腕、大谷が甲子園に間に合えば、大きな戦力になるだろう。

 A 10年ぶり出場の花咲徳栄は交流のあった高田(岩手)が被災し、選手の野球に取り組む姿勢が変わったという。

 B 九州・沖縄勢も戦力が充実しているようだね。

 E 唐津商の北方悠は好投手。150キロ近い直球を投げ、スタミナも十分だ。明豊の左腕高尾も決勝で8回2死まで無安打の快投を見せた。海星は主将の永江が投打に高い能力を誇る。

 A 初出場の糸満が沖縄勢の連覇を目指すね。

 E 内野守備は相当、練習を積んだ。併殺シフトを見ても、攻撃的な守りが出来る。

 C 愛知からも10年ぶりに新顔が登場する。

 B 至学館は決勝で愛工大名電を破るなど、3試合で逆転した粘り強さを甲子園でも見せてほしい。

■〈上位狙う〉金沢・英明・日南学園に好投手

 B 他に上位進出を狙えそうなのは。

 D 2年連続出場の開星は、島根大会タイ記録の9本塁打を放つなど、長打力が魅力。186センチ、98キロのエース白根も、5試合で39奪三振と相変わらずの存在感だった。

 A 山梨学院大付は、山梨大会全5試合で2けた安打。4戦連続を含む5本塁打の4番小林に、期待が集まりそうだ。

 E 常連校はどうかな。

 C 出場31回目の龍谷大平安は2年生中心だがバットの振りが鋭い。22回目の静岡は、左腕原崎を中心に守り勝つ野球が徹底されている印象だ。

 D 手堅さでは、左打者7人を並べて6試合で28犠打の今治西。如水館も派手さはないが、打線にムラがなく、接戦で強さを発揮するタイプだ。初出場ながら、柳井学園も6試合で2失策と鍛えられている。

 C 好投手釜田を擁する金沢も注目だ。選抜出場時はテークバックの際に球が見える癖があったが、修正してきた。英明の193センチ左腕松本は、最速145キロ。甲子園で、どんな投球を見せるか楽しみだ。

 E 九州勢では、救援で16回無失点の村田が控える日南学園。専大玉名は、チーム打率2割3分2厘ながら、つなぐ野球で初出場を勝ち取った。

 B 初顔では、春の東海大会を制した大垣商、準優勝の大垣日大を相次いで破った関商工の勢いもあなどれない。

■〈旋風期待〉逆転の藤代 白樺学園は攻撃型

 C 初出場の東京都市大塩尻は守備が堅いチームと聞いた。

 A 特に内野守備は安定している。4回戦の地球環境戦では1試合5併殺の大会記録を作った。

 D 健大高崎も初出場だ。6試合で28盗塁と足技が光る。

 B 上位を打つ小池と湯本は2人で計10盗塁。決勝でも先制点は、湯本のバント安打と二盗から生まれた。

 C 懐かしいチームも名乗りをあげたね。

 A 30年ぶりの鶴岡東は1年生の左腕古市が上手と横手を投げ分け、80キロ台の緩いカーブを使って打たせて取る。

 B 23年ぶりの伊勢工も守備のチームだ。6試合で失策は二つだけ。堅実なプレーでアウトを積み重ねていく。

 D ほかに旋風を巻き起こせそうなチームは。

 A 茨城大会決勝でリードされたが、粘ってサヨナラ勝ちした藤代は勝負強い。新湊の主戦袴谷は尻上がりに調子を上げる。

 C 23回目の出場となる徳島商の右腕龍田祐は、スライダーのキレがいい。八幡商は小技を絡めた機動力が持ち味。7年ぶりの鳥取商は3試合を1点差で制した。

 B 福井商は21回目の出場。チーム打率は4割4分8厘で1番の山方が打線を引っ張る。作新学院の1年生山下はパンチ力がある。白樺学園は4番岡田を中心に攻撃型のチームだ。

 A 昨年25年ぶりに出場した能代商はノーシードからの連覇。秋田勢14年ぶりの初戦突破に挑む。

▽座談会出席者

東京=渡辺芳枝 名古屋=富山正浩 大阪=安藤嘉浩・山下弘展 西部=能田英二
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