日大三、1点勝負制す 好打・堅守で2年ぶりV 西東京
2011年7月31日0時33分
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優勝。歓喜する日大三の選手たち=神宮、吉本美奈子撮影
 30日、西東京大会決勝戦。日大三(町田市)が早実(国分寺市)を2―1で下し、参加119チームの頂点に立った。日大三の甲子園出場は春夏連続で、夏は2年ぶり14回目になる。31日は東東京大会で決勝戦が行われ、帝京(板橋区)と関東一(江戸川区)が対戦する。
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(日大三2―1早実)
 戦前から東京の高校野球をリードしてきた2校の対決。日大三・吉永、早実・内田の両エースの力投と堅守で、1点を争う好勝負となった。0―0の均衡が破れたのは5回裏。日大三は死球で出塁した谷口が二盗に成功。ここで金子が中越えの二塁打を放って先制点を奪った。日大三は6回にも菅沼が左翼席へソロホームランを放って加点した。流れは日大三のものになったかと思われたが、早実も粘る。7回表、二塁打を放った渡辺が犠打で三塁へ。次打者への吉永の投球がそれる間にホームを駆け抜け、1点を返した。しかし、日大三・吉永はその後、最終盤で球威が増してベストピッチングを展開し、早実の反撃を封じた。
■投手戦でエース復活 日大三・吉永健太朗投手
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復活の力投。勝利の瞬間、日大三・吉永君は両腕を空へ突き上げた=神宮、内田光撮影
 2点リードで守りについた7回表、1死三塁のピンチ。続く打者への変化球は捕手の前でバウンドした。三塁走者がかえり、1点差に。胃がキリキリ痛むような場面にも、日大三のエース・吉永健太朗君(3年)は表情を変えなかった。「まだ1点ある」。自分の力に自信があった。後続は2者連続の見逃し三振。白い歯をのぞかせてベンチへ走った。全国の地区優勝校が集まる昨秋の明治神宮大会で優勝し、今春の甲子園はベスト4。全国屈指の本格派右腕と言われたが、実は、ずっと苦しんでいた。この大会は序盤から制球が定まらなかった。どうにも思うところに投げられない。不利なカウントでストライクをとりにいっては痛打を浴びた。「最後の夏」を意識しすぎて、力みでバランスを崩していたのかもしれない。「打って点取っていくぞ」。監督や仲間が力強く話すたびに、気持ちの優しいエースは「自分が頼りないせいだ」とうつむいた。復調の兆しは準決勝にあった。相手は、昨夏も同じ準決勝で戦って延長14回の末に敗れた日大鶴ケ丘。春から課題にしてきた「変化球でカウントを稼ぐ」投球が決まり、ようやく感覚をつかんだ。昨年も投げあった岡孟杜(たけ・と)君(3年)との対決を制したことも自信になった。そして迎えた決勝戦。
 最初から「今日はいいぞ」と直感した。序盤こそボールが先行したが、徐々に変化球が決まり始め、自慢の直球も生きた。「やっといつもの吉永に戻ってくれた」。主将の畔上翔君(3年)は、遠くセンターの守備位置から背番号1の背中につぶやいた。絶好調の時は、自分のところへ打球が飛んでくる気さえしない。いま、確かにその感覚がある。9回表、最後の打者。吉永君は直球勝負で三振を取ると決めた。バットが空を切った瞬間、両腕を突き上げ、相棒の捕手・鈴木貴弘君(3年)と抱き合った。「監督も仲間もずっと不安だったと思います。勝てて本当によかった」。終わってみれば、好打者ぞろいの早実から14三振を奪っていた。戦いの舞台は甲子園へ。日大三が、深紅の大優勝旗に最も近いところにいる学校の一つであることは間違いない。「力まず、新たな気持ちで一戦一戦勝っていきます」試合が始まった時は泣き出しそうだった空に、夏雲がわいている。吹っ切れたエースの心を映したような青空だった。(伊木緑)

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