如水館、貫禄の優勝 2年ぶり7回目 広島
2011年7月28日0時48分
8回裏、適時打を放ち一塁上で笑顔をみせる如水館の金尾元樹君=マツダスタジアム、諫山卓弥撮影
広島大会11日目の27日、マツダスタジアムで決勝が行われた。7、8回の集中打で流れを呼び寄せた如水館が接戦を制し、2年ぶり7回目の優勝を決めた。初めて決勝に挑んだ広島新庄は、如水館と同じ13安打と果敢に攻めたが、県北勢初の甲子園出場の夢は持ち越した。
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(如水館5―2広島新庄)
中盤までは1点を争う展開だったが、如水館が好機を確実にものにし、競り勝った。1点を追う如水館は7回1死から、樋口の右中間への二塁打を足がかりに4長短打を集中し、逆転に成功。8回1死満塁から金尾の左前安打で2点を追加し試合を決めた。広島新庄は同点で迎えた5回、代打の姫宮の中前安打でリード。だが続く1死満塁の場面など、好機にあと1本が出なかった。6回以降は如水館の浜田の前に2安打に抑えられた。
■主軸復活、ここぞの3打点 如水館・金尾元樹選手
「今さら考えてもしょうがない」。決勝戦で、如水館の3番打者、金尾元樹君(3年)は、吹っ切れた。「いい球がきたら思いっきり打つ」。それだけを頭に入れて打席に立った。7回1死二塁。初球を迷いなく振り抜いた。外角直球だった。打球が中前に転がった間に、二塁走者の樋口圭君(同)がかえり、同点に追いついた。8回も1死満塁で左前安打を放ち、試合を決めた。この日の試合は4打数4安打3打点と打撃が爆発した。序盤に勢いがあったのは広島新庄の方だ。流れをつくったのは、代打と代走の起用だった。5回1死二塁、同点の場面で広島新庄の打席には、代打の姫宮和克君(同)が立った。中前安打で走者がかえった。その直後、姫宮君に変わって、代走についた栗栖翼君(同)は盗塁を決めた。勢いに乗った広島新庄は、1死満塁と如水館を突き放そうかという雰囲気だった。たった一度のチャンスにかける代打や代走とは対照的に、金尾君は主軸としての役割を思うように果たせずにいた。「全然駄目」。大会初戦からタイミングがまったく合わなかった。準々決勝の広島工戦でチームが12安打の猛攻を見せる中、1安打に終わった金尾君は沈んだ声で言った。「僕が打てばチームも勢いに乗ると思う。逆に打てんかったら……」。勝った試合なのに、笑顔は一つもなかった。山陽との準決勝でも1安打。「何とかしないと」。焦るばかりだった。如水館は今年、主将のほか4人の副主将を置く。その1人が金尾君だ。迫田穆成(よしあき)監督は「チームを代表して怒る代わりに、この5人は骨折しても試合に連れて行く」と話す。どんなに不調でも試合に出続ける。今大会、不調に悩み続けた主軸が、初めて開き直って臨んだ試合で、甲子園への切符を手にした。「チームのために、バッティングで引っ張っていく」。次の舞台へ。金尾君は力強く宣言した。(山下奈緒子)

