〈兵庫:秘伝公開(5)市川 メンタルトレーニング〉本番へ プラス思考
2011年7月8日15時11分
$とっちゃんのブログ

メンタルトレーニングの講義に耳を傾ける。「普段の授業もこれくらい熱心に聞いてくれたら」と監督がぼやくほどの真剣なまなざしだ=市川町の市川高校音楽室 緊張感が支配する試合本番で、どうすればいつもの力を出せるのか。夏の大舞台を制するには「強い心」が欠かせない。
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 音楽室に集まった野球部員たちが、仲間のスピーチに耳を傾ける。「今回のCDを聴いて、自分を信じて空を飛ぶことに成功したライト兄弟の話が印象に残りました。守備につく時、もっと自分を信じようと思います」語り終えると、教室の後ろで見守っていた講師が声をかけた。
 「そう。『エラーしたらどうしよう』と思っているからエラーする。打球が飛んできたら『ありがとう』と思わなきゃ」市川高校(市川町)の野球部は冬場の3カ月間と夏の大会を控えた6月、大阪府の能力開発会社から週1回程度、講師を招いてメンタルトレーニングの講義を受ける。部員たちは講義までの1週間、発明家や企業経営者の成功談などを収録した教材CDを繰り返し聴き、その感想を仲間の前で発表する。講師は古今東西の逸話を織り交ぜつつ、気の持ちようの重要性を説く。 目指すのは、ここ一番で動じない、徹底的なプラス思考の浸透だ。
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 練習ではうまいのに、本番に弱い。普段なら当たり前に出来るプレーが、試合で出来なくなる。市川で30年余り指導にあたってきた徳永伸寿監督(52)は、こんな高校球児を数え切れないほど見てきた。「若いころはメントレ関係の本を読みあさり、いろいろ試した。でも、専門知識がないと難しい。長く放置してきた分野でした」転機は7年前。能力開発会社の担当者からメントレプランを聞く機会があり、半信半疑で試してみることにした。講義の期間中、部員たちは毎週、部活と勉強、生活の3分野で「打率4割」「期末テスト平均80点」「明るい人間になる」といった目標を定め、具体的な行動を決めて達成度を自己チェックする。さらに、毎日、自分の成長を声に出してほめたり、自分が活躍する場面を繰り返しイメージしたりする。「ごっつい下手な子でも練習時の顔つきが変わってきた。しかるばかりじゃなく、子どもらをその気にさせることの大切さに気づかせてもらった」部員たちは毎年、正月に年賀状の配達アルバイトをして自分の受講料を賄う。
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 徳永監督は言う。「ここ一番で『あかん、どうしよう』となるか、『よし、いったるで』と思えるか。心の持っていき方を訓練した経験は、野球以外でも役立つはずです」メントレ導入4年目の2007年、市川は春の選抜大会に初出場して初戦を突破した。昨年の兵庫大会では11年ぶりの決勝進出を果たし、夏の甲子園まであと一歩だった。球児たちの「心技体」が試される夏が、もうすぐやってくる。(宮武努)
■心得
一、野球に限らず、勉強や生活面でも目標を立て、そのための行動を実践する
一、自分が試合で活躍する場面を繰り返しイメージする
一、スピーチは大きな声で。聞く人の目をしっかり見ながら
■アンケートから 集中力養成 各校競う
 各校が取り組むメンタル強化策は様々だ。
 柳学園(洲本市)では大会前、スクールカウンセラーに頼んでメントレ講座を開く。試合中に弱気になった時、心を落ち着かせるために実践する腹式呼吸の方法などを、1、2時間ほどかけて話してもらう。集中力強化のために多くのチームが採り入れているのが「ボール積み」。方法は単純だ。テニスや野球のボールを細心の注意を払いつつ地面の上に3個積み上げる。宝塚(宝塚市)の黒田浩一監督は「横から話しかけられても気づかないほど集中しないと難しい。一球に集中する訓練になる」。集中力養成に役立つという市販の専用カードも、複数のチームで必須アイテムになっている。カードの図柄を見つめた後、目を閉じて残像に意識を集中させる。県西宮(西宮市)の高松明男監督は「試合中、集中が切れてきたと感じたら、部員たちはベンチで一生懸命カードを見ていますよ」。
 このほか、剣道の面打ちや座禅で精神修養を図るチームもある。
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