消費税率7─8%への引き上げを勧告、段階的に15%へ=IMF
(ロイター - 06月08日 20:00)

6月8日、国際通貨基金は、日本経済に関するリポートを公表し、現在5%の消費税率を2012年以降に7─8%に引き上げるよう勧告。都内で昨年8月撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 8日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は8日、日本経済に関するリポートを公表し、現在5%の消費税率を2012年以降に7─8%に引き上げるよう勧告した。巨額の公的債務水準を引き下げるには、さらに「何年かかけて」段階的に15%に引き上げることが重要だとしている。
IMFが毎年行っている「対日4条協議」では、日本の消費税率について12年以降、景気回復が続く間に7─8%への「緩やかな引き上げ」を勧告。税率引き上げによる経済への影響は「不透明だが、穏やかなものになる可能性が高い」と指摘した。
さらに、日本の公的債務の国内総生産(GDP)に対する比率は220%超と高水準にあるとして、20年までに135%程度に引き下げるためには、消費税を何年かかけて段階的に15%に引き上げることが重要だと試算。国内投資促進のため法人税を35%へ引き下げる一方、所得税の控除縮小や年金支給開始年齢の引き上げなどを通じ、歳入増と歳出削減を進めるべきだと提言している。
<GDPは11年‐0.7%、12年に+2.9%>
リポートではGDP成長率が11年はマイナス0.7%、12年はプラス2.9%に上昇すると予想した。東日本大震災の影響は、政府や日銀の対策で限定されており、夏ごろから供給制約が緩和して復興支出が加速するとともに、経済が回復に転じると見込んだ。12年にかけても、輸出と持続的な公共支出が支える形で成長は持続する見通しだという。インフレ率は11年、12年ともゼロ近辺にとどまるとしている。
ただ、見通しの不確実性は「例外的に大きい」とも指摘。サプライチェーンの混乱解消や電力供給の回復が遅れると、個人消費や投資を抑制するほか、他の先進国で景気が減速して輸出が弱含むリスクにも言及し、11年度2次補正予算やその他予算関連法案の適時成立が下方リスクへの対策になるとしている。
<日本の財政改革の遅れは他国にもリスク>
IMFは日本の財政改革が遅れた場合、他国にリスクが波及するシナリオも描いた。日本国債の利回りが急騰すると、「ゆうちょ銀行などを含めて邦銀に損失が生じる」ことに加え、「政府債務の水準が高い他国の金利上昇に波及(スピルオーバー)する効果が生じる可能性がある」という。日本政府は、国債の平均年限を他の先進国並みの5―6年に近い水準に伸ばすことで借り換えリスクを軽減し、調達コストも低く抑えることができるとアドバイスした。
<日銀は資産買い入れプログラムの加速・拡大を>
日銀の金融政策に関しては「金融市場の安定化に貢献」したと一定の評価を下したが、需要低迷や大きな不確実性がデフレ圧力を増幅させるおそれがあるとして、資産買い入れプログラムを加速・拡大させることが「デフレリスクに対抗するとともに、景気回復を支え得る」手段だとしたほか、残存年限が3年以上の、より長期の国債の保有割合を増やすこともできると記した。
同時に、商品市場などで価格変動の激しい状況が続く中では「政策スタンスを伝えるにあたり、食品とエネルギーを除くインフレ率の見通しについて」一段と説明すべきだと指摘した。
<金融緩和維持で円相場は弱含みを予想>
円相場に関しては、日銀の金融緩和政策は現在の円相場に「ほとんど影響を与えていない」が、日本は今後、他の主要国に比べて金融緩和スタンスを長期にわたり維持する可能性が高いとして、「円は弱くなり、貿易や金融を通じて他国の経済に影響を及ぼす可能性がある」と予想している。
(ロイターニュース 基太村真司、翻訳:村山圭一郎)
<中国>南シナ海で掘削へ…「海洋石油空母」移動中
(毎日新聞 - 06月08日 21:10)
【上海・隅俊之】大型で海上移動が可能なことから「海洋石油空母」と評される、中国最大規模の石油掘削装置(オイルリグ)「海洋石油981」が5月下旬に上海を出発し、東シナ海を移動中であることが分かった。領有権をめぐって中国とベトナム、フィリピンなど沿岸各国の対立が激化している南シナ海で、今秋にも展開するとみられ、地域の緊張がさらにエスカレートする恐れがある。
中国国営新華社系の週刊誌「瞭望東方周刊」などが報じた。
「海洋石油981」は、中国石油大手の中国海洋石油が約60億元(約750億円)を投じて製造した中国初の海底3000メートル級半潜水式油井掘削装置で、最大掘削深度は1万2000メートル。中国海洋石油幹部は「情勢次第で軍事的な助けを求める可能性を排除しない」としている。
5月23日に上海の造船工場で命名式が行われ、海事巡視船の護衛を受けて出港。現在、浙江省舟山沖の東シナ海を航行中という。瞭望東方周刊は、東シナ海で試験運転を行った後、豊富な石油資源を埋蔵しているとされる南シナ海で今秋に掘削を開始すると報道。7月中に掘削が始まるとの観測もある。
埋蔵量の多い大型油田は近年、深海で発見されることが多いが、中国は技術面や設備面で遅れていた。中国海洋石油副社長の周守為氏は同誌に、「(海洋石油981の投入は)国家エネルギー戦略と国家権益の確保にとって重要な意味を持つ」と強調した。南シナ海では、中国が実効支配を強めようと軍事力を増強。対抗してフィリピンや台湾なども大型巡視船投入を相次いで決めるなど緊張が続く。
実際の掘削場所について、同誌は「南シナ海の北部」としているが、ベトナムなど沿岸国が領有権を主張する南沙諸島(英語名・スプラトリー諸島)などの近辺になる可能性もある。
中国軍艦8隻が沖縄付近通過=太平洋上の演習目的か―防衛省
(時事通信社 - 06月08日 21:05)
防衛省は8日、ミサイル駆逐艦など8隻の中国海軍の艦艇が、沖縄本島と宮古島の間の公海上を航行しているのを海上自衛隊護衛艦が確認したと発表した。太平洋上での演習が目的とみて警戒監視活動を続けている。 同省によると、同日午前0時ごろ、宮古島の北東約100キロの海域で、補給艦、潜水艦救難艦など3隻が南東に向けて航行していた。 正午ごろには、同じ海域でミサイル駆逐艦など5隻が太平洋に向かっているのを発見したという。海自は護衛艦2隻で監視している。