加藤コミッショナー声明全文

【ファンの皆様へ】

 被災者の前代未聞の苦境に思いをはせない、心を揺さぶられない日本人等おりません。物心両面でできるだけの支援をしたいと皆思っています。実際行動に移している人も沢山おられるでしょう。

 日本の未曽有の困難を克服し、復興を軌道に乗せるための責務を一人一人の国民が負っていると思います。被災者を直接救助する人の働きにはめざましいものがありますが、その人達を助ける人達が必要であり、さらにそれを可能にする人やシステムが要ります。そうしないと国が回りません。日本全体が沈滞化してしまいます。会社員なら通勤、その他に多大の不便があっても頑張ってそれぞれのプロフェッショナリズムを発揮しています。そういう状況のなかで、プロ野球の果たすべき役割は何なのでしょうか。プロ野球には何ができるのか、プロ野球は何をすべきなのでしょうか。被災地が復興することを祈り、復興にメドがつくまで、公式戦を行わず、練習だけを行い、ただじっと待っているだけでいいのでしょうか。私は、私たちプロ野球界、球団、プロ野球を職業とするプロ野球選手にとっては、むしろ、この困難な状況においてこそ、気力を振り絞って、真剣勝負をお見せすることこそが、プロ野球に期待される社会的責務であり、そこでプロフェッショナリズムを発揮することによって、被災者、被災地、そして日本のために貢献できるのではないかと考えます。

 私は、地震発生後から今日まで、プロ野球の果たすべき役割について、私なりに熟考を重ねてきました。被災地の状況、電力供給問題などが未確定のまま、いつ開幕するということを発表してよいものかどうか、悩みもしました。プロ野球界のみならず、多方面の方々から貴重なご意見を拝聴いたしました。12球団の現状を踏まえた上で、文化的公共財としての日本のプロ野球が果たしてきた歴史的な役割を考えると、苦しいときにこそ、必死でプレーする姿勢をお見せすることこそがプロ野球界に求められている使命であり、責務ではないかと確信するに至りました。

 いわゆる、「風評」もあって、外国資本が日本から逃避したり、居住外国人が日本の西部、南部へ転出したりする事例が続き、株価も下落していると承知しております。こうした動きがまた、海外にも増幅して伝えられ、東京が日本全土が極めて不安な状態であるとの過大で、謝った認識を与え、その結果、日本全体がさらに沈滞するという負の連鎖を招きかねません。

 こういう状況においてこそ、野球の出番があるのであり、プロ野球は被災地の人々にできる限りの勇気を届け、日本国全体に夢と希望を伝え、海外に対しても「日本は野球がやれる位落ち着いているではないか」「日本全体にはまだまだ底力があるではないか」との冷静で正確な事実認識を持っていただくための発信を行う役割を担うべきものであると、私は思います。プロ野球は、プロ野球の世界のためだけのものではありません。それは、日本国及び日本社会とともにあるべきものです。

 球場にご来場いただきますファンの皆様にも義援金活動などのご協力をお願いすることがあるかと思います。また、通常に比べご不便をお掛けすることがあるかもしれません。その際にはぜひ、ご理解・ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 2011年3月17日 日本プロフェッショナル野球組織 コミッショナー 加藤良三(原文のまま)

 [2011年3月17日19時54分]


古田敦也氏が“セ・リーグ3月25日開幕”に猛反対「本気ですか?」。
(ナリナリドットコム - 03月17日 16:45)

東北地方太平洋沖地震の発生以降、緊迫した状況が続く最中、プロ野球セ・リーグが予定通り3月25日の開幕を強行する方針を打ち出していることについて、元日本プロ野球選手会会長で、元ヤクルトの古田敦也氏が公式ブログで猛反対している。

3月17日に更新されたエントリー「本気?」では、まず、セ・リーグの25日開幕方針に「大反対です」と立場を表明。「国難とまで言われている大震災が起きています。多くの方が犠牲になりました。まだ多くの場所で救助を待っている方がいて多くの方が寒い避難所で過ごされています。そして多くの人々が何とか助ける方法はないかと全力で戦っています。選手達も延期したほうがいいと発信しています。そんな中での発表に驚いています」と、この状況下での開幕強行の判断にビックリしているという。
セ・リーグが開幕強行に踏み切るのは「被災者に勇気と元気を与える」といった理由だが、この点に古田氏は理解を示しつつも、「今はそんな段階にない。事態がある程度落ち着いてみんなで復興を目指す段階になってからでいいと思う」と指摘。
また、関東地方が計画停電を実施している中で、多くの人たちが不便があっても節電に協力しようとしているにも関わらず、「東京ドーム、神宮球場でたくさん照明を使うナイトゲームで開幕」することに「本気ですか?」と怒り心頭だ。


セ、予定通り25日=パは4月12日に延期―プロ野球開幕
時事通信 3月17日(木)17時25分配信

 プロ野球のセ、パ両リーグは17日、東日本大震災に伴って再検討していた公式戦開幕日を、セは予定通り25日とし、パは4月12日に延期すると発表した。
 記者会見した加藤良三コミッショナーは「セとパでは事情が違う。タイミングがずれるのはやむを得ない。夢と希望を与えるのがプロ野球の使命」と語った。
 12球団は開幕日などの見直しを15日に協議。セは予定通りで、楽天の本拠地・仙台市が被災したパは延期する方針をまとめた。同日の実行委員会では結論が出ず継続協議としたが、両リーグの方針は変わらず、17日の持ち回り実行委で承認した。
 パは4月12日以降のカードを変えず、それまで予定されていた44試合も新たに日程を組む。例年通り1球団144試合を実施し、クライマックスシリーズも行う。また両リーグは今季の全試合を復興支援試合とし、義援活動に取り組む。
 セの開幕には選手の反発が残っており、労組日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(阪神)は「選手会の要望が受け入れられず悔しい。被災者、原発の問題、避難所の方々を思うと、本当に今開幕していいのか」と語った。