おたふく少年の思い
「ぼく がっこーにいく」
腫れの残る顔で 突然言い出した。
前日までの3日間 学校のガの字もいわず 欠席ライフを満喫していた息子。
さすがに飽きてしまったのだろう。
「ぴーちゃん 残念だけど まだ行けないよ。
病院でしっかり治ったことを
認めてもらわないと行けないんだよ。」
「がっこー がっこーがっこー
がっこーにいくぅーーーーーー」
同じ言葉をくり返し叫び 壊れたおもちゃのように ジタバタと暴れ出した。
学校に行きたくてもいけない。
その怒りの矛先は 私にむけられた。
「がっこー がっこー がっこーにいくぅー
びょういんにいくぅー」
叫びながら私を乱打する息子。
息子の行動は さらに ヒートアップ
手のみならず 足も出始めた
がっこぉーいきたーいー!
べんきょーしたーいー!
たると たべたーいー!!
たると たると たるとぉ!!!
そうだったのか・・・。
こいつは タルトが食べたくって こんなにも学校に行きたがっているのか・・・・。
唯一登校できた始業式 給食の献立表を前に 手作りタルトのおいしさを熱く語っていた息子。
今日が タルトの日だったんだ・・・・。
おいしいデザートが出ると 教室中を歩き回って
「ちょーだい ちょーだい」を連呼する 卑しき息子。
「Aちゃんはねぇ けっこーくれるんだよぉー。
B君は チョコが嫌いだからねぇ~」
そんなぼくが大好きなタルトを食べられない。
ぼくの たるとが・・・・ ぼくのたるとが・・・・・
たると たると たると たると
たるとぉぉーーーー
興奮し 気がふれてしまったのでは??と本気で心配するくらいの暴れよう。
いい加減にしなさいっ!!
終了・・・・・
いつもの自分だったら ここで終了。
でも この日だけは耐えた。
タルト食べたかったんだね。
給食でわいわい やりたかったんだよね。
おともだちに会いたくなっちゃったよね。
ずっとずっと おうちの中
エネルギーが有り余っちゃうよね・・・・。
そう 私の名は ぱいれーつかあさん
海のような山のような広く大きな心で
子ども達をうけとめる ぱいれーつかあさん
感情を出したいだけ出せば きっと落ち着くはず・・・・
とまらない兄の暴走 そして打たれ続ける母
私が立ち上がらなくっちゃ!
「みてぇー みて みてぇー」
「へんなかお・・・・」
空気をかえようと 必死の3歳児。
時が経ち・・・・
暴れきった息子は さすがに疲れたらしく
「たるとぉ・・・・ たるとぉ・・・・」
その声は小さく消えていった。
そうだっ!
そんなに食べたいんだったら 作っちゃおう!!
家庭科2の私が 立ち上がった。
タルトなど作ったことは ない。
だけどクックパットをみて わいわいやってたら 元気印の おたふくぴー君に元通り・・・・。
その後我が家のタルト計画は座礁したが、代わりに ぺちゃんこシュークリームを みんなで作った。
一日 二日時が経ち 現在。
「 せるふ かつはむさんどばーがー
木曜日 ぼく絶対がっこーにいくっ!!」
献立表を手に リベンジを誓う ぴーであった。
籠城生活23日目。頑張れ ぴーちゃん がんばれ ぱいれーつ!
皆さんの二押しが 体にしみます!!
ありがとう!ありがとう!
さて 明日学校に行けるか??
こうご期待!!