いつも通る道に


除雪車がいる



わたしはこの除雪車、

ロータリーさんとよく話をしていた



なぜロータリー、なのかというと

黄色い車体の端っこに、そう書いてあったからだ




このロータリーさんが停まっている所は

わたしにとっては

山の頂上みたいなものだった



よく

ここまで

今日も来たね

がんばったね



そういう場所に

ロータリーさんはいた




毎日

毎日

通るので

なんとなく

話をするようになった




おはよー

今日は少し遅いんだ



そうかい

おはよう



いつもロータリーさんは言葉少なだ





ある日

わたしはいつもの道とは違う道、はじめて通る道から目的地に行こうとしていた




あんまり朝早くだったから

違うバスに乗ったのだ




その日は脚が痛かった





いつもと違うバス停で降りて

でもいつもと同じ場所を目指して歩いていた




すると




お〜い




と声がする





あっ!




たくさんのロータリーさんがいる

大きいの

小さいの

中くらいの


いつもの黄色いロータリーさんの仲間がたくさんいる空き地から声がした




あのねぇ




わたしは

こっそり話しだした





ロータリーさんの仲間だから

聞いてくれると思うんだけど…




ハイハイ




今日

脚が痛いんだけど

練習休んでもいいかなぁ




ロータリーさんが返事する




ねぇ

よーく考えて

もし僕たちに小さなヒビが入っているのに

気づいているのに

そのまま

雪を持ち上げたり

路上に出ていったら


どうなると思う?



ちょっとネジがゆるみかけてたり

摩耗してるのを

分かってるのに

そのまま使ったら




うん…!

大事故になるかも




わたしは

ふりかえり

ふりかえり

たくさんのロータリーさんにお礼を言う



そして

いつもの

あの山の頂上みたいなところに

1人でポツンといるロータリーさんに

声を届ける




ありがとう