11:英語脳とは何か

 

ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」という小説がある

ヘッセは少年のころすでに大人以上の頭を持っていたのか

と思った人が多いと思う(私もそうであった)

現在の自分から少年だった自分を考えているのである

それでは少年のころの頭のままで少年の日のことが書けるか

それは不可能である

どれほど記憶がよくても今の自分の頭を少年の頭には戻せない

今の自分には今の記憶と考え方があり

少年のころの頭には少年のころの記憶と考え方がある

英語脳とはアメリカ人と同じように考える能力である

と勘違いしている日本人が多い

はたして日本人にアメリカ人の考え方で考えることができるか

それは不可能である

それが可能ならヘッセは少年のころの頭と考え方で

「少年の日の思い出」を書くことができることになる

日本人(外国人)は今の自分の頭と考え方で

自分自身の英語を話すしかないのである

 

12:禁断の木の実

 

禁断の木の実を食べたアダムは楽園を追われた

と旧約聖書・創世記にある

創世記はヘブライ語で書かれている

神はあまりにも厳しいたった一度木の実を食べただけで

と思う日本人は多い

これは「食べた」という日本語に問題が存在する

日本人の印象では「一度だけ食べた」となる

ところがヘブライ語ではこれは未完了過去である

ヘブライ語はある動作が一度きりで終了したのか

あるいは何度も繰り返されたのか

ということにたいへんこだわるのである

一度きりで終了したなら完了形であり

継続したのなら未完了形である

このこだわりは広くインド・ヨーロッパ語族にも共通であり

セム・ハム語族のアラビア語にも存在する

英語で言えば過去完了の継続的用法である

ヘブライ語はアラビア語と親戚関係があるが

このような発想が広い範囲で存在するのが興味深い

 

13:簡単に英語をマスターする方法

 

簡単に英語をマスターする方法はない

もしあればとっくに開発されているはずである

英語をマスターしたいという人が

はたして何千万にいるだろうか

おそるべき市場である

金儲けの好きな人たちが目を付けないはずはない

方法はないということをよく知っているからである

かりにこれが開発されたとしよう

それは実証されなければならない

100名のうち何名がマスターすれば

実証されたといえようか

10名20名で納得できるのか

「3か月で英語をマスターする方法」などの本が

売れるのは一人の実証者で十分だからだ

そもそも英語をマスターするとはどういうことなのか

「マスター」という言葉は人それぞれなのである

 

13:英語をマスターするとはどういうことか

 

英語をマスターするとはどういうことなのか

かりに大学を卒業したネイティブスピーカー

と同じ程度の英語力とするならば

大学を卒業した日本人がこれから何年かかるのか

毎日3時間勉強すれば何年かかるか

毎日1時間勉強すれば何年かかるか

英語をマスターするとは

人それぞれによって違うのである

アメリカの小学生程度の英会話力がほしい

英語の小説をすらすら読みたい

字幕なしでアメリカ映画がみたいなどなど

これらのレベルのどちらに到達しても

どれもみなマスターしたことになるのである

英語をマスターしたかどうかを決めるのは

他人ではなく自分自身なのである

 

14:語学は常に途中である

 

自分の目標を決め勉強していれば

いつでも常に途中である

目標に到達することはない

目標に到達したと思った時でも

目標はまた向こうにあるのである

問題は「途中にある」ということを

受け止められるかということである

途中で挫折する人は

受け止めることができない人である

英語をマスターできる人は

常に途中にあるということを

自覚して今の自分を受け入れることが

できる人なのである

 

15:言葉は文法よりも発音が優先

 

ギリシャ語を勉強してまず思ったことは

動詞の時称変化・名詞の格変化に不規則が多いことである

ギリシャ語に挫折する大きな原因である

なぜこんなに不規則が多いのか

発音しやすいように発音が変化するからである

動詞の変化が不規則なのは発音が変化したためである

発音が変わらなければ動詞の規則性は保たれたはずである

日本人は外国語の勉強において発音を軽視する傾向がある

発音が文法を変えるほど重要であることを知らない

もっともっと発音をしっかり学ぶべきである