白列車に乗り込み、今日でもう、3週間目。

 いつもどおり朝から車両の掃除をしていた。

 車両からの視線もだいぶやわらかなものになったと思う。

 一人で車両にいるのも平気になってきた。

 小川さんは毎日同じことを繰り返しているらしかった。

 毎朝、起きて朝食を作り、その後は私を起こして車掌室に向かう。

 車掌室は分解室の隣にあって、車両的には同じところにあった。

 小川さんは白列車の人々に襲われる事はないらしく、私には近寄るなと言った最後尾の三両目を越え、普通に分解室に入っていた。

 小川さんは怖くないのかなぁ。

 小川さんはどうして平気なんだろう?

 一体、小川さんは何年ここにいるのだろう?

 小川さんも私と同じように偶然でここに来たのだろうか?

 ここに来て三週間経ったが、小川さんはいまだに謎の人物であるのには変わりなかった。


 素性も、性格も、本音も。


隙を見せないのだ。

あぁ・・・なんかとっつきにくいなぁ。

 

 『ガタンッ!』

 車両が大きく揺れ、私は近くにあった壁にもたれた。

 「なっ!?なに??」


 ここに来て初めてのことだった。

 事故にでも遭ったのか。

 それから、しばらく白列車は停止したままだった。

 心配なので車掌室に行きたかったが、怖くて私にはそんな勇気などなかった。

 ただ、小川さんが帰ってくるのを待っていた。

 正確な数字は分からないが、そろそろ昼食の時間であろう時に小川さんが現れた。

 「小川さん、なんだったんですか??」

慌てて小川さんに駆け寄った。

 「あぁ。たいしたことはねぇよ。

  終点だ。

  一ヶ月に一度止まる事になっている。

  もちろん、降りる事はゆるされねぇ。

  過去に降りようとした奴がいたらしいが、降りた瞬間気を失ったらしいぞ。

  つまり、もう二度と目覚めなかったってことだ。

  降りれば、即射撃。

  下手な事は考えない方が良い。」


 「そうなんですか・・・・。

  無事ならそれでいいんですけど、私怖くて・・・」


 「何言ってんだ。

  ここで住む以上、これは毎月あるんだ。

  そんなことでビビるな。」


 「はい。。。」


  どうやら終点では、メンテナンスを行うらしい。

  ってか、そんな初めて知るのだからいちいち怒らないで欲しいな。

  まぁ、いいや。

  

あっ、洗剤なくなったんだ!


 「小川さっ・・・」


  『ドサッ。』



 後で、何かが倒れた。


 小川さんだった。


 >記録

 花粉症で死にかけてます(;へ;)

夜が明けた。


でも、ここは私の部屋ではない。


「夢じゃなかったんだ・・・」


両手を上にし、開いたり閉じたりしてみた。


マンガのようにほっぺも抓ってみたけど、普通に痛かった。



壁側に寄り添ってみると、わずかな振動が伝わってくる。


この振動は人間によって引き起こされている。


ここは白列車。


私は、昨日誤ってここに乗り込んでしまった。 


そして、訳あって車掌である小川さんのお手伝いをすることになった。


昨日は、彼の話を聞いた後まだ動ける様子ではなかったので、そのまま寝させてもらった。


 後ろに何かが動く気配がした。


振り向くと小川さんが居た。


「なんだ、起きてたのか。


 さぁ、ベットから降りろ。奥に朝食がある。ちゃんと食べとけよ。」


「はい。」


いつの間に作ったのか、目玉焼きとご飯、野菜炒めが盛ってあった。


なんか普通の肉より固いなぁ・・・


ちょっと多かったけど無理矢理詰め込んだ後、言われた征服に着替え小川さんについていった。



「まず、この列車の構造を教える。


 この列車は歩くと分かるが車両が短い。そして、この列車は全部で8両。


 お前が前吸い込まれかけたのが、最後尾から3つめ。

 そして、寝泊りのできる部屋は先頭の車両になる。


 分解室は昨日言ったとおり、最後尾だ。最後尾から3両以内には近づくな。


 まぁ、分解室に巻き込まれたければ別だが。」


「はっ・・・はぃ。」


何かと脅しをかけてくる小川さんがなんだか怖い。


「で、これで掃除をお願いするよ。一応、車両は生き物だから丁寧に扱ってやってくれ。


機嫌を損ねるとまた昨日と同じめに会うぞ。」


そう言って、大きなスポンジがついたブラシと洗剤のようなものを手渡された。


「今日は二両で充分だから、終わったらさっきのお部屋に戻って来い」


「えっ!?一緒にやってくれるんじゃないんですか??」


「ふざけるな。


俺は忙しいんだ。掃除は一人でできる。ノルマは4時間だ。


って、時計なかったな。


まぁ、出来る限りはやく終わらせろよ!」


小川さんはさらに奥向かって歩いていった。


一人車両に残されると、再び恐怖が甦った。


今、私が踏んでいる床は人間なんだ・・・。



あまり深く考えると、何もできなくなるのでとにかく手を動かした。


よくみると、壁、床、窓、に変な線が入っている。


どことなく、人の線に見えた。


やっぱ、気味が悪い。。






いけない、考えない事にしたんだ。




考えないようにすればするほど、それぞれが人に見えてくる。


ブラシを痛みつけないように、ゆっくり動かすと、微々だが床が震える。


列車に入ったとき最初に感じた、視線も今日はもっと感じる。


威圧感がすごかった。


常に狙われているようで、落ち着けなかった。



4時間は経ったごろだろうか。


いや、もっとかもしれない。


小川さんが帰ってきた。


安心して、緊張が解けた。



「もうちょっとです。」



 「だいぶ、きれいになったな。


  もう、いいぞ。終わっても。部屋に戻ろう。」




よかったぁ・・・・


正直、こんなところに一人でいるのには精神的にダメージが大きかった。


小川さんによると時刻はもう午後4時だった。


車両には外の光が全く入ってこない分、時間感覚が狂ってきている。


おそらく、私は8時間ぐらい掃除をしていたのだろう。


一日ってこんなに短かったっけ?



こうして、白列車での一日は無事に終わった。


このダメージに何日耐えられるだろう・・・。


漠然とそんなことを考えながら、小川さんの後を必死でついていった。





>記録

久々に投稿しましたw