日本昔話 第一話 『うさぎ』 | ・・・たまにはイイよね

・・・たまにはイイよね

。°・。練馬のトトロ。・。°

(語り)
むか~し、むかしの、
ことじゃったぁ

五箇庄より17里ほど南の、瀬戸内海に浮かんだ

大久野島という小さな島に


それはそれは美しい姫ぎみがおったそうな
・・・たまにはイイよね

が照り、
が鳴き、新緑薫る、ある夏の日のこと ……



(山賊1)
暑ぢぃなぁ~、だども腹さぁ減っただなぁ~兎でも捕まえて食うべさ~
(山賊2)
んだな…


兎(う)は山賊がいつも食用として狩猟し…、島に住む山賊共の食糧になっておった

山賊が兎の群れを見つけ、あれよあれよと沢山の兎を捕まえていた、その時…


(縞姫)
これっ…、何をしておるのぢゃっ、兎を離せ
(お供)
姫様…あれは山賊、捨て置きましょうぞ…


ならぬっ、


ありゃぁ~国府城の縞姫でねぇか~…
…んだな


すると二人の山賊は「ぴ~、」と大きく口笛を鳴らし、

近くにいた仲間の山賊共を呼び寄せた



縞姫様…ここはわたくしめが…どうか…お逃げください






その時…、

一匹の小さく、真っ白な縞姫の足元に走りより震えておった
・・・たまにはイイよね

逃がさね~ぞぉ~
…んだなぁ~

早く……早くお行きください…
すまぬ…すまぬ……


縞姫は、小さな兎を抱きかかえ、走りに走り山のふもとへと…

そしてなんとか多くの家来達がいる所まで辿り着いた


それを見た山賊共は、しぶしぶ山へと引き返していったそうな






時は経ち…
が薫り、紅葉咲き乱れる、あるの日のこと……






新太郎…お前も大きくなったのぅ…別れとうはないが、強く…強く生きるのぢゃ


縞姫は助けた小さな兎に新太郎と名付け、育てておった

そして新太郎の、あまりのかわいらしさに城内の者はおろか

町の民からも、たいそう、かわいがられておったそうな




(爺)
姫様…兎は野性の生き物…これで良いのです…
…わかって…わかっておる……………………
$・・・たまにはイイよね

その…
泣き崩れる姫の姿を見た者のには、散りゆくもみじにうつったそうな…








その日の





姫様…どこへおでかけに………なりませぬぞ…
少し外の空気を吸いたいだけじゃ…川まで行くぞ、


止めても聞かない縞姫に爺はしぶしぶお供を一人連れ場外へ…


(小声)おいっ、ありゃぁ~縞姫でねぇかぁ~
…そだなぁ~


姫、一行が川まで辿り着くと近くにいた大勢の山賊共が集まって来た


う…、うぬらは…
さ、山賊っ、…多勢に無勢…、ここまでかぁ……、


ぐっふっふ、ここで会ったが…
…そだなぁ~


縞姫と爺、お供が山賊共に囲まれ、襲われそうになったその時……






待てぇ~ぃ、





…誰だぁ……


(うさぎ しんたろう)
月より参った、
月下の剣士、

うさぎしんたろ~う、いざ参る、

・・・たまにはイイよね


そこに現れたのは、身の丈五尺ほどで、小さく真っ白な着物を着た浪人であった



童っぱ~…、見られたからには生きて帰れねぇぞぉ………


浪人襲いかかる山賊共…………しかし…、

浪人は軽い身のこなしで襲い来る山賊共二本の変わった剣で、

ばったばったと薙ぎ倒し、二十ほども居た山賊共がたったの二人になってしまった

・・・たまにはイイよね

…うわ~~
くっ…その顔忘れねえぞ~


助かりました…御浪人様……
さ、さ、うさぎ殿、今日は城にて…




礼など要らぬ…、父上を…母上を……多くの仲間を………
…殺めたあやつらが……いや……、…………さらばぢゃ、


しんたろうはそう云うと、どこへともなく消えていってしまったそうな…


うさぎ… しんたろう様…
なんと精悍なお方じゃ……








次の
泣く子も黙る丑三つ時に………



残った二人の山賊が城へ忍び込み、仲間のかたき…と…城中にを放った




とつぜん燃え上がり
ごうごうと炎上する城に、あわてふためく城内







大殿がおらぬこんな時に………姫様~、姫様ぁ~
ごほっ、ごほ……………わらわはよい…、逃げろ
何を申されます、今すぐに参りま……



ずがががが~
燃えあがり焼け落ちる城内に、姫のもとまではとてもいけず…

もはやこれまでかと

誰もが思った…、その時…………





さささささ~、




何処からともなく
うさぎしんたろうが現れた




縞姫………参ろうぞ
…うさぎ様……………なにゆえ………はい、参りとうございます

・・・たまにはイイよね




炎上し崩れ落ちる城内駆け巡りしんたろうは縞姫を無事、城外へと助け出した




う…さぎ…様………

そういうと縞姫は気を失い、その場に崩れ落ちてしまった




おぉ~、あぁ~、
…いかがなされた
中に…中に、お世話係の子が……


さきほどより、さらに炎上している城にお世話係の子が二人、取り残されておった





…参る…
う、うさぎ殿、

・・・たまにはイイよね



そういうと颯爽火の海の中にしんたろうは飛び込んでいった












しばらくすると……城内より、二人のお世話係の子が泣きながら出てきおった

おぉ…、よくぞ無事に……、して…うさぎ殿はどこに、


泣きながら首を振る二人の口からは泣き声しか聴こえてこなかった………











夜が明け




火がおさまり……焼け落ちた城を見ながら、城の者達がたたずんでいる時に、

城の焼け跡の一部になぜか…

沢山のれ…

その中心には、健やかな顔をした一匹の白いうさぎの亡きがらがあったそうな



新太郎…
新太……、もしや……、

$・・・たまにはイイよね

それからまもなくして、残った山賊二人は捕まり、罰をうけ




城の者を守ったとされる兎(う)に敬意を表し、

この土地では、それからというもの

兎(う)のことを、

うさぎと呼ぶようになった




今でも大久野島には、日本一をほこる数のうさぎがおるそうな









                  ーおしまいー


・・・たまにはイイよね

日本昔話 第一話 『うさぎ』
                        原作者/監修:練馬のトトロ(Ameba)
              作 画/編集:彩色繭美(E★エブリスタ)
                    写真/ラビさん

エンディングイメージ曲:I don't want this night to end(ジョン・オバニオン)