自分がこの病気になってわかったこと。
「がん」と言っても 「癌」と「肉腫」と「白血病や悪性リンパ腫」のようなものに 分けられること。
「癌」(英語ではcancer キャンサー)は 皮膚や胃・腸の粘膜など胞から発生した悪性腫瘍。
胃ガン、大腸ガン、子宮ガン、乳ガンなど。
「肉腫」(英語ではsarcoma サルコーマ)は 筋肉・線維・骨・脂肪・血管・神経などから発生した悪性腫瘍。
よく名前だけでも聞いたことがあるものとしては骨肉腫がそう。
その他として造血臓器から発生した白血病や悪性リンパ腫などがある。
肉腫の発生率は極めて少なく 肉腫は全て「希少がん」(10万人に6例未満)であること。
今まで 大きな病気をしたこともない どころか ここ数年は風邪もひかず 病気で病院のお世話になったことがほとんどない私にとって「がん」についての知識は ほとんどないに等しかった。
身内に「がん」の人もいなかったし、化学肥料を使わず、無農薬で自分で育てた採りたての野菜を毎日食べて、空気の良い田舎で、ストレスのない健康的な暮らしを送っていたので なんとなく自分は「癌」には ならないだろう、と 根拠なく思ってた。イメージしていたのは やっぱり 胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、とか。
確かに「癌」にはなっていない(笑)
しかし まさか 骨とはね・・・。
なってしまったものは仕方ない、なぜか 割と淡々と受け止められていた。
余命宣告されたわけでもないし、治療も手術や抗がん剤のような肉体的に辛い思いをすることはないだろう、と いう気持ち、だったりかなぁ。
自分が「がん」になったことを 特別隠すつもりはなかった。
治療のために1ヶ月半入院するとなると その間仕事も休まなくちゃいけないし、伝えなければならない人もあるし。
ただ 休むに当たってどうしても言わねばならない人以外に 自分から伝えるのはなかなか難しかった。
特に 軟骨肉腫という病気をほとんどの人が知らないので 時間をかけてちゃんと 経緯から説明できる人でないと 聞かされた相手もリアクションに困るようだったし。
ただ 年配の両親にだけは「がん」であることは 伝えたくなかった。
特に ものすごく心配性の母親には。
今や「がん」は不治の病ではない、治る病気であることも 頭ではわかっていても 自分の娘が「がん」であることが いつも心配で気になるに違いなく、その心労で体調も崩しかねない人なので。
幸い 遠距離に離れて暮らしているので 黙っていればわからないんだけど、やっぱり時々連絡はあるし さすがに1ヶ月半 家の電話に私がでないとなると 何かあったと感じるわけで・・・。
どうするのがいいか 悩んだ結果「悪性腫瘍」ではなく「良性腫瘍」ということにして あとは事実を伝えることにた。
実際 転移、再発がなければ 同じことだし。
ただ 入院施設が粒子線医療センターってことで がん治療専門ということはHPを見ればわかるので 数日後に父親からは「がん ではないんだな」「正式な病名は?」と聞かれ「軟骨腫瘍」と伝えた。
「軟骨腫瘍」ググってみると 色々でてくるけど 「骨・軟部腫瘍の多くは良性で 稀に悪性腫瘍」とあるので とりあえず納得はしているみたい。
まだ 治療も始まっていない、進行が遅く、転移再発はどちらかというとしにくいとはいえ、今後どうなるかもわからない状況の時なので 気持ちは結構揺れていた。
教師ではないけど 小学校の勤務だったので 突然しばらく休むことを 子どもたちに伝えた方がいいよなぁ、と 思った。
仲良くしていた子もいっぱいいたし、子どもたちにとっても理由を知らされずに 曖昧なままって なんか嫌かな、って。
だから みんなの前で言いました。
ほんとは ちゃんと話したかったけど 1年生から6年生までいる中で それも難しい。
怪我とか 病気でも手術とかだったら簡単に説明できて 理解できるのだろうけど。
結局「体の中に 悪いとこが見つかって それを治すために入院します」という これまた 中途半端な説明しか できなかった。
だから その後に 何人も「何の病気?」とか聞きに来ても「足が痺れて痛くてね」と答えて・・・。
「癌なん?」「癌やろ」と いう子もいた。これはグサッときた。
まだ 相手の気持ちを推し量れない子どもって 残酷だ。
その後 友人たちと会って 病気のことを話すたびに いろんな考え方を聞き その都度揺れた。
貴女だったら 子どもたちにも もっとちゃんと説明するかと思った、という人。
そんなことを 病気の本人から語らせるのはおかしい、という人。
病気の人は もっと自分本位に考えたらいい、という人。
もし 自分が相手の立場だったら、と考えてみたら?、という人。
初めて置かれた立場で 私自身のスタンスが 定まっていない感じで 心が疲れた かな。
説明しても「がん」ということで いつか死ぬのではないかと、ものすごーく心配してくれる人もいれば、粒子線の治療をすれば消えて無くなり 元の元気な体になると 思ってる人もいた。
「肉腫」に対して全く知識のない人に 説明するのは 難しい。説明しても なかなかピンとこないし。
でも それは 仕方ないことだ、とも思う。
よく聞くことだけど 私も 自分が「がん」なって初めて病気の人の気持ちがわかった、と 思う。
病気についての説明をされても 今までは きっと耳で聞いていただけで 心に落ちてなかったんだと思う。
だって 何にも知らないんだもの。
まだ 何の治療も始まっておらず 私自身の体は何にも変わっていないのに 軟骨肉腫診断された後 私は「がん患者」になってしまった。 何だか それも 不思議な感じ。
と まあ こんなふうに 治療前は今までと変わらず元気でいたものの 千々に乱れる心持ちでありました。