タイトル:死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録
著者:古宮九時
発行:メディアワークス文庫
発行日:2017年11月25日
今回はファンタジー×ミステリーのライトノベルのご紹介。
もうすぐ死ぬ人の『幻影』が見える『僕』と、『幻影』繋がりで知り合った『君』との物語。
死という運命から『幻影』を救うため、僕と君は奔走する!!!
主人公のこのファンタジー的特殊体質に加えて、物語後半に突然、点をすべてつなげて線にするような、伏線の大回収劇。
ミステリーあるあるの最後のどんでん返しも、加速するまで全く予想できなかったこともあり、二度見必見の物語である。
もっとこの物語、有名になっててもおかしくないんだけどなあ・・・。
シリーズものではないからなのか・・・。シリーズ化してほしかったなぁ・・・。
あらすじからもわかっていただけると思うのだが、命を扱う物語である。
重い題材なのだが、『僕』にしても『彼女(君)』にしてもキャラクターが濃く、ノリ突っ込みも多く、全体的にコミカルな感じに物語は進んでいく。
とにかく彼女がひたむきに、運命を覆すために動き続ける。
『僕』一人だけでは変えられなかった未来を、彼女がいることで変えていける。命が救える。
同時に、人間不信気味で、死の瞬間を繰り返す幻影が見えることで精神的に苦しんでいた『僕』をも、
彼女の明るい性格が救ってくれる。
最後の最後、ラスト3ページまで、本当にドキドキした。
いつも通り、好きな場面や心に残ったセリフを書き出そうかと思ったけれど、どこも良すぎて選べなかった。
ピンポイントに「ここが好き!」ではなく、純粋に間の取り方(P75、P77とか)や、
主人公の心に響くセリフの選び方、そこまでのストーリー展開などが好きなためだ。
間の取り方やセリフに重さを置く方法は、どちらかというとコミックを彷彿とさせる。
・・・でもトリックの仕組み的に映像化は無理なんだろうなぁ。
ものすごい勢いであっという間に読み切った作品だった。
また好きな作家さんを見つけてしまったな。
他の作品もぜひ読ませていただこう。