8月のある日、母の誕生日。

おめでとうの電話をしました。

母のいつもの、姉や姉の子供達の愚痴が始まり、私はいつも通りに聞き役に転じました。
いつもと違かったのは一通り愚痴を言ったくらいに急に母が、
「私が愚痴を言っていたと姉に話すんだろう!」
と言い出した事。

私は、
「姉とは仕事上の事でしか連絡を取っていないから話さないよ」
と言いました。

母は、
「そんなの信じない!前に話した事あっただろう!」
と言いました。

私は考えました。
話した事?
……あっ!

12年前に1度だけ姉と話しました。
家族について。

姉はお婿さんをもらい結婚して、子供を2人授かりました。
だけど、子育てはしませんでした。
母に全てを任せ、自分は昼は仕事をして夜は遊び回っていました。
浮気を繰り返し、旦那さんとも離婚しました。

私は母の事、姉の子供達の事を心配して、姉と話してみようと決断しました。

「私達ももういい大人でしょ?そろそろ落ち着いて、母に心配かけたりはやめよう?子育ても頑張ってみよう?産んだんだから、責任はあるんだよ?」
と言いました。
姉は、
「無理!子供達の事は可愛いと思った事がない。あんたと違って私は母性がないんだよ!母親がみんな母性があると思うな!」
と言われました。
無理だと感じました。

どこかで私は、自分なら姉を変える事ができるのではと思っていました。
単なる自分に対する自信?驕りだったのだと思います。

その数日後、姉は自殺未遂をしました。
病院で錯乱状態になりながら叫んでいたと聞きました。
「妹に自分を否定された!だから死にたい!」

私は母に電話で激怒されました。
「あんたはもう家族じゃないんだから、他人の家の事に首を突っ込んでくるな!」

私は自分の言葉で人が死んでしまったかもしれなかった事に恐怖を感じ震えました。
それと同時に母に言われた、「家族じゃない!」が胸に突き刺さりました。

それから私は、関わるのをやめました。
自分が傷つきたくないから、自分で自分を守る為に深く関わる事をやめました。


母が言った、前に姉に話した事…とはこの事だと気付き、
「もう姉には言わないよ。大丈夫。」
と言いましたが、1度言っているから信用できないと何度も言われ、思わず、
「もう傷つきたくないから言わないよ。」
と言ってしまいました。
母から、何に傷ついたんだと更に追求されて、12年前の事を話しました。
母は、
「家族じゃない!は言葉のアヤだろう!人を悪者みたいに言うな!あんた面倒くさい人間だな!」
と罵倒されました。

私は、根にもってる訳ではないのです。
ただ、ショックを受けた事実が消せなかった。
姉に対しても、母に対しても。